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「その子は丸山ゴンザレスさんのファンで、いつも見ていたらしいの。『中澤先生が出てきたのですごくびっくりしました』って(笑)。それで、私がYouTubeやカフェをしていることも知って、お店にも来てくれたのね」

 2022年10月には、クラウドファンディングにも挑戦した。離れている人にも手作りカレーを届けるために、レトルトカレーをつくるプロジェクトだ。400人近い人々が支援者となり、目標を大きく上回る350万円近くの金額が集まった。レトルトカレーは試作品が完成し、支援者にはリターンとして届けられているが、一般向けの販売も近々予定されているそうだ。元対象者から、「もしカレーをつくり過ぎて余ったら全部買い取ります」という心強い連絡もあったという。

レトルトカレー開発のプロジェクトには多くの賛同者が集まった

「更生」という言葉は誰もに当てはまる

 保護司としての活動は終えても、お店やYouTubeがきっかけで、かつての対象者と再びつながる。新しい縁も生まれる。点が線になって、広がっていることを実感していると中澤さんは感慨深げだ。最後に中澤さんは、ライフワークとして関わってきた「更生」の持つ意味を、こう語ってくれた。

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「更生って、犯罪や非行に走ってしまった人たちのための言葉として広まっていますよね。けれど、『更』に『生きる』って書いてあるわけだから、誰にも当てはまる言葉だと私は思ってるの。一般社会のなかで、昨日、今日、明日をさらに生きていく、日々生まれ変わっていくのが更生だと、私は捉えていますね」

 元対象者も、中澤さん自身も、そしてすべての人も、更生しながら日々を生きているのだ。

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