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「まだこんなことやってるんですか…」重大事犯少年が事件から10数年後に明かした“伝説の保護司”に対する“意外な思い”

「まだこんなことやってるんですか…」重大事犯少年が事件から10数年後に明かした“伝説の保護司”に対する“意外な思い”

中澤照子さんインタビュー #2

2023/08/31

genre : ライフ, 社会

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 暴走族やヤクザをはじめ、120人以上の元受刑者を更生に導いてきた、元保護司の中澤照子さん(82歳)。定年で保護司を引退した後は「カフェLaLaLa」をオープンし、地域住民から元不良まで、誰もが気軽に立ち寄れるお店の名物ママとなっている。さらにユーチューバーとしての活動もはじめ、カジサックを始めとしたそうそうたる大物とのコラボも実現。挑戦を続ける中澤さんが目指すものは何なのか。

元対象者たちとゴミ拾いをする中澤さん

◆◆◆

カフェに訪れる人の立場や悩みはさまざま

 中澤さんが「カフェLaLaLa」をオープンしたのは2018年。保護司を引退しても、これまで関わってきた元対象者や、更生保護関連の人々、学生ボランティアたちが気軽に集まれる居場所をつくりたいという思いからだった。実際、お店には、中澤さんを慕うさまざまな人が訪れる。評判を聞いて、人生相談をしに来る人も少なくないという。

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保護司を引退後に開いたカフェLaLaLa

「この前は若いご夫婦が来たの。離婚に向けて別居してるけど、旦那さんは『やっぱり別れたくない』と。奥さんも戻りたい気持ちはあるけど、我慢できないことがいっぱいあるから踏み切れない。2人で話し合っても煮詰まっちゃうからって相談に来たんだって。校長先生をしている人が遠くから来てくれたこともありました。孫にとんでもない不良がいて、でも自分は教育者として地元では知られているから、相談できる人がいないとか」

 訪れる人の立場や悩みはさまざまだが、相手の気が済むまで中澤さんは話を聞く。なかには泣き出してしまう人もいるが、思いの丈をすべて吐き出すころには、多くの人が笑顔で帰っていくそうだ。

ある日「私は自殺しようと思っています」と電話が

 しかし、どのように対応するのが正解なのか、いまだにわからない出来事もあったと中澤さん。ある日、お店に電話がかかってきたのだが、声の主の中年男性は、思わず絶句してしまうほど無茶な要求をしてきたという。

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