「勤務時間を減らさないといけないプレッシャーは確実にある。そこで、『自分のマネジメント能力が足りていないのが悪い』という発想のもと、いけないこととは分かっていながらも、私たち社員が自ら休日を返上し、勤務時間を(少なく)書き換えていた」(同前)
残業時間の長さに応じてボーナスがカットされる“謎規定”
さらにAさんのプレッシャーになっていたのが“謎のボーナス規定”だった。
「うちの会社には『残業時間の長さに応じてボーナスがカットされる』という謎の規定がある。“残業を許さない”という社風を象徴するような制度です」
小誌は、社員に配付された同社の「2023年上半期賞与支給概要」を入手。そこには〈時間外勤務調整〉として、20~25時間残業した人はボーナスからマイナス0.1カ月、25~30時間の人はマイナス0.2ヵ月、30時間以上の人はマイナス0.3カ月と記されている。
Aさんは「不安障害」と診断され、結局、昨年12月に退職を余儀なくされた。その後、「個別労働紛争解決制度」を利用して同社に未払い残業代などを請求したが、〈未払いは無いと判断します〉などと支払いを拒否されているという。
労働問題に詳しい長谷川正太郎法律事務所の比嘉直人弁護士が解説する。
「そもそも、残業は会社が従業員に対して命じるものである以上、長時間残業の責任は会社側にある。実際の労働時間に見合った残業代が支払われない『サービス残業』はもちろん労働基準法違反にあたる。問題は、会社の経営陣がこの状況を認識していたかどうかだが、一般的な感覚として、現場の状況をフランチャイズオーナーが知らないということは現実的にありえない。もし、管理職の目が行き届かず、従業員たちが独自の判断で店を回さないといけない状況が起きているならば、それは法律の問題以前に経営者の資質に問題があると思われます」
キノシタの木下弘社長「はいさようなら~!」
キノシタの木下弘社長を直撃すると、