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新東京3区は「仁義なき戦い」の舞台に

 その槍玉に挙がったのが、新東京3区のようだ。

「松原氏とは喧嘩別れのような形になってしまったので、立憲から新しい候補者を出しても、これまで松原氏を応援していた人から協力を得るのは難しいだろう。そんな状態では知名度のある石原氏とは戦えないため、3区は共産党に譲ってしまっても良いのではないかという話も都連では出ている」(同前)

石原宏高 Ⓒ文藝春秋

 現場では3区について諦めの声が聞こえる一方で、大将の泉健太代表は「候補者を立てるべきだ」と都連幹部に発破をかけているという。立憲関係者が言う。

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代表辞任すれすれの泉健太 Ⓒ文藝春秋

「泉代表は次期衆院選で『150議席が必達目標だ』と述べて、達成できなければ代表を辞任する意向を示している。また、そのために全国で候補者を200人以上擁立することも明言。そうした中で、都連が調整不足の結果、もともとは立憲が議席を持っていた3区を共産に譲り渡そうとしていることに憤りを持っているようだ」

 泉代表の心中を別の立憲関係者はこう推し量る。

「代表は次期衆院選に向けて国民民主との関係を改善し、選挙協力にまで漕ぎつけたいと考えている。そのためには連合の仲介が必要不可欠だ。共産と犬猿の仲である連合は、立憲が共産と選挙区調整をすることを非常に嫌がるため、都連が共産に選挙区を譲り渡そうとする動きに待ったをかけている」

 新たな区割りで生じた「新東京3区」という頭痛のタネ。果たして立憲民主党はこの地に候補者を立てることができるのか。

 しかし、仮に望ましい候補者を立てたところで、建一氏が維新からの立候補を表明し、石原氏が所属する岸田派に敵討ち――そういう政治ドラマを繰り広げられてしまったのでは、有権者の関心はそちらに奪われてしまうかもしれない。

 進むも地獄、退くも地獄。仁義なき戦いが始まろうとしている。