立憲民主党が混乱している機に乗じて、日本維新の会が来る総選挙で主役の座を奪い取ってしまうのだろうか。
キーパーソンは河村建一氏――自民党政権で官房長官まで務めた重鎮、河村建夫氏の長男が維新から出馬する調整に入った。
現在、東京都内の選挙区から立候補する方向で検討が進められているが、その候補地のひとつに、松原仁衆院議員が離党し、立憲の候補者がいなくなった新東京3区が挙がっているという。
「山口の敵を江戸で討つ」地盤を奪われ冷遇の河村氏は自民から維新へ
建一氏は、父・建夫氏の輝かしい経歴とは対照的に、苦難の道を歩んできた。もともと建夫氏のもとで政策担当秘書や官房長官秘書官などを経験し、後継者としての地位を固めてきた建一氏が、初めて衆院選に挑んだのは2021年のことだった。
しかし、世に数多いる世襲議員のようにすんなりと当選とはいかなかったのが、建一氏の苦難の始まりだ。もともと建一氏は2021年に出馬するつもりはなかった。それが急遽、出馬、落選の憂き目を見たのには、自民党内の力学の変化がある。
当時はまだ父の建夫氏が健在で、21年の選挙には地盤の山口3区からは父が出るはずだった。ところが、将来の総理総裁を目指す林芳正氏(当時参院議員)が衆院に鞍替え出馬を表明したことで運命の歯車が狂い始める。
自民党本部と山口県連の裁定で、河村家の地盤・山口3区は林氏にものになり、建夫氏自身は引退に追い込まれる。自身の引退と引き換えに、後継者の建一氏を比例中国ブロックの名簿にねじ込むことに成功したかに見えたが、その約束もあえなく反故にされる。
結果的には、縁もゆかりもない比例北関東ブロックで出馬を強いられた建一氏は落選。捲土重来を期した2022年参院選でも比例代表の候補者として名を連ねたが、当落線上には遠く及ばず落選を重ねてしまっている。全国紙の政治部記者は語る。
「建一氏は人柄が悪いわけではないのだが、お人好しで遠慮がちなところがあり、山口県内での政局に敗れてうだつが上がらない状態が続いている。参院選で再起を目指すも、建夫氏から受け継ぐはずだった団体票を安倍派に奪われてしまい、当選にかすりもしない状態です」