マエケンのカープ復帰に期待してしまうカープファン心理

 6月中旬、マエケンこと前田健太について「2016年にドジャースと結んだ8年契約が満了する今オフ、日本球界への復帰も」というニュースが流れた。そこには、メジャーの他球団からのオファーが来る可能性も示唆しつつ「本人はバリバリ投げられるうちに日本で、最後は日本でやりたいという思いがあるようです」とも書いてあった。こうなると瞬時に「マエケンがカープに帰ってくる!」と喜びたくなるのがカープファン。その要因はもちろん、メジャーでバリバリの先発投手として活躍していながら、21億円とも言われるオファーを蹴ってカープに戻ってきた黒田博樹。カープファンどころか、海の向こうのメジャーリーガーですら驚いた「奇跡の復帰劇」という前例があるからだ。

 黒田の復帰によって、マエケンしかり、鈴木誠也しかり「メジャーに行ったけど最後はカープに帰ってきてくれる」という思考がカープファンの標準装備になったのはある意味では必然。事実、誠也がメジャーに行った時も、これまでFAで某球団に移籍した大竹や丸などの時とは違い、怒りは無く、活躍を期待すると共に、心のどこかで「いつか帰ってきてくれる(だろう)し」という淡い期待を抱くようになった人が多いはずだ。

 ちなみに。筆者である私は「本人がそう言ったわけでもなく、ありがちな話じゃないか。某関係者、某球団関係者。誰だよ。本当にそうなるかも分からないのにそれっぽいニュースにして。踊らされちゃダメだよ」と思っている。しかし、前述した思考が自身の標準装備になった可能性も否定できない。じゃあ少し、ちょっとその勢いを借りて書いてみましょう。もし、もしマエケンがカープに復帰するとしたら、背番号は何番がいいのかを。

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前田健太 ©文藝春秋

 黒田の時は「15番」が球団預かりとなり、黒田が復帰するまでの間、誰も背負うことはなかった。しかしマエケンは「18番」。こちらは森下暢仁が背負っているだけではなく、そもそもエースナンバーである。よってこの線は無い。となるとありがちな「入団時の背番号」。つまり「34」。現在は高橋昂也が背負っているが、これをマエケンが背負うなら自然か? いやいや。昂也はこの背番号を気に入っている。入団時、マエケンが背負っていたということを聞かされ「嬉しかった」とも言ってるんですよ。それを奪うのは少しかわいそうじゃないだろうか?

 そこで私は考えた。誰もが納得する、あるいは「なるほど」となる背番号はなんだろう。考えに考え抜いて出た結論。それは「25番」。カープでは完全に野手の背番号だが、新井貴浩監督だっていつまでも背負うわけじゃないだろうし、いつか誰かに譲るはず。でも、まだ適任者はいない。だからこそ思い切ってマエケン。なかなか面白い。マエケンの背番号が25になり、数年して引退するころ、将来のカープを担う野手、こいつは仕上がってきたなと思う選手に譲る。背番号25の歴史に、投手・マエケンという「箔」をつけるのだ。

 なんともバカみたいな妄想である。しかし、カープファンはこういう妄想が大好きなのだ。では、妄想ついでにもうひとつ。でもこれは、マエケンと同じようでまったく違う話で、一気にマジメになる。冒頭で書いたマエケンのニュースからしばらくして報じられた筒香嘉智の「自由契約」だ。