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「今の選手の姿を見ていると、微笑ましい」

 今、オリックスの練習施設のある舞洲に行くと、若手が自主練を黙々と続けている姿が本当に多く見られる。一軍にいる主力勢も時間があれば、舞洲に行き、トレーニングに励んでいる。交流戦後のゲームが無い数日間はウエイトトレーニング場の混みようは凄かった。

 金子千尋の背中を見て来た山本由伸らがエースとなり、今なお現役を続ける平野、比嘉らの姿を見て山崎颯一郎らの中継ぎ、抑えの若手が育ち、糸井、坂口の猛練習を知っているT-岡田や安達らの逞しき姿勢が若き野手陣を鍛え上げる土壌を作り上げた。

「色んなことがありました。球界再編、分配ドラフト、最下位争い……大変な時期も経験しました。今の選手の姿を見ていると、微笑ましい。とてもいい空気が流れている。自信を持ってプレーしてくれていますよね。本当にオリックスは強くなりました」

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 坂口智隆はどちらかと言うと苦労の多かったオリックス・バファローズ時代を知っている。

 そして最後の近鉄戦士だった。今は阪神でコーチをされている北川さんや日高さんにも先日、甲子園で挨拶できたという。引退後、あの時の苦労を分かち合った。

 あの日、近鉄とオリックスが一つのチームとなったからこそ今がある。今夜の京セラドームにも近鉄の帽子を被ったオールドファン、ブルーウェーブのユニフォームを着た女性ファンが放送席から見てとれる。藤井寺球場も日生球場もグリーンスタジアムも西宮スタジアムも知っている方たちが手を繋いで京セラに来て下さっている。良い時も悪い時も見放すことが無かったファンの皆さんがいる。

 強くなったオリックス。ここに至るまで大変な道のりだった。多くの選手やスタッフ、関係者、ファンが苦しみを乗り越えて、ここに辿り着いた。それを忘れず、今宵も放送席に座りたい。オリックスの歴史に感謝したい。

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