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月1のサイゼリヤが最高の贅沢…"バイト3つ掛け持ち"月収17万円・33歳女性が抜け出せないキャリアの蟻地獄

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 社会, 働き方

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「派遣会社のコーディネーターが言うには、クライアントさんの事情ということだけでした。1カ月後ぐらいに新聞に自動車会社本体に関する記事が載っていて、本社のスリム化、効率化を急ぐと書いてあった。おそらくですが本社の人数を削るために関連会社や子会社に異動させる、だから派遣には出ていってもらう。そういうことだと思いました」

トコロテン式に下の人間が切られた。そういうことだが身分は派遣会社の登録スタッフなのだから文句も言えない。

失職したのは20年8月半ば。お盆休み前が最後の出勤だった。

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「派遣会社からは次の派遣先を探すのには時間がかかると言われて。失業手当を受けながら自分でも次の働き口を探したのですが思うようにいかず……。失業手当が終了してからは短時間のアルバイトを組み合わせてどうにか暮らしています」

ゆとりのないアルバイト掛け持ち生活

とはいえコロナが収束していないのだから、アルバイトを探すのは簡単ではない。

「働ける日数、1日当たりの勤務時間が限られるんです。1つのアルバイトで1日4時間、週4日勤務。こんな感じです」

これでは月収7万円がいいところ。とても生活できないから曜日、時間帯をずらしてもう1つ、更に夜間のみの仕事を週3日追加。3つ合わせてようやく月収17万円という状態だ。

「1日に3つの仕事を掛け持ちすると身体には負担です。体調があまり優れないときはパンクしそうになります」

今のスケジュールはというと、朝8時から正午までは食品ミニスーパーで接客・販売、商品陳列など。帰宅して午後2時から6時まではホームセンターで配送手配、リサイクル処理などに関する事務作業。更に月水土の3日間は夜7時から10時まではファストフード店のカウンターで販売業務。

「3つ重なった日の夜はクタクタで何もしたくない。帰宅できるのは23時頃なので食事するのも億劫です」

食べないと身体が持たないから無理して何か口にするが、冷凍保存してあるご飯を解凍してインスタントみそ汁をかけたねこまんま、食パン2枚とコロッケ1個、玉子1個入れただけの煮込みうどんなどで手のかかる料理は作れない。