「ノー・ジャパン」を掲げて日本製品不買キャンペーンを展開した韓国だが、ゲーム機や自動車、衣服など、一部の日本製品は変わらず消費され続けた。この「選択的不買」に見られる、韓国の屈折した対日感情はどこからくるものなのだろうか。

 ここでは、韓国国内の事情を現地から伝える広告プランナー兼ライターの佐々木和義氏の著書『日本依存から脱却できない韓国』(新潮社)の一節を抜粋。韓国人の隠しきれない「日本への好意」について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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数字はウソをつかない韓国人の「日本大好き」度

 日本にやってくる韓国人はサッカーW杯の日韓共同開催が迫った00年に100万人を超えて以降急増し、06年に200万人を超えた。リーマン・ショックの影響で円高ウォン安が進行した09年と東日本大震災が発生した11年に、200万人を割り込んだものの、13年から訪日観光ブームが広がり、日本を訪れる韓国人が韓国を訪れる日本人を上回る状況となった。15年は400万人、16年には人口の10%に相当する500万人を超え、17年には700万人余にまで成長した。

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 ノー・ジャパンが拡散した19年は558万人。拡散以前である同年7月までの訪日韓国人は442万人なので、ノー・ジャパン以後5か月間に116万人、月平均20万人が日本を訪れたことになる。急減したと騒がれたとはいえ、275万人が日本を訪問した訪日ブーム2年目の14年と同じ水準になったに過ぎない。

 ちなみに19年、韓国を訪問した日本人は327万人で、ノー・ジャパンの最中、訪日韓国人が、訪韓日本人を大きく上回っていた。韓国人が日本を訪れる目的は、仕事や親族訪問に加えて、温泉、ゴルフ、スキーなどのレジャーを楽しむ人や、街歩き、グルメ、ショッピングなど多岐にわたっている。特定の目的よりむしろ、日本そのものを楽しみたい人が多い。訪問する地域も全国に及んでおり、体感ではあるものの47都道府県のすべてを訪問したことがある人の割合は日本人より高いとさえ思われるほどだ。