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海外移住先を求めて米豪に進出する韓国投資家

 インフレで資産の目減りに不安を持つ資産家や個人投資家もまた日本に触手を伸ばして、主に不動産を漁り始めた。韓国企画財政部が集計した18年の海外不動産直接投資は、前年の37億6700万ドルを34.8%上回る50億7800万ドルだった。その上昇分の多くを日本への不動産投資が占めていると見られる。それまで海外不動産投資は機関投資家の領域という認識が強く、個人投資家はリート(不動産投資信託)やファンドを通じた間接投資を行う程度だった。そこへ、物件紹介から契約の事後管理まで一貫して支援する海外不動産投資顧問会社が登場し、投資のハードルが低くなった。

 まず、韓国を脱出して移住を考える投資家が注目したのは、米国やオーストラリアだった。富裕層の子女は海外に留学した後、韓国に戻らず、現地でそのまま就職するケースが多く、本人と配偶者、21歳以下の子が永住権を取得できる投資移民ビザの発給を検討する人も増えていた。実際、18年度にこの発給を受けた韓国人は前年より約60%増の530人ほどで、中国、ベトナム、インドに続いて4番目に多かった。日本が注目を集めたのは海外移住を伴わない投資先として、である。日本の優良不動産は大きく値上がりしない代わりに下落もなく、安定した利回りを得ることができる。

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 東京のあるビル資産管理会社は、韓国人を相手にここ2年の間に、都内の13億円のオフィスビル、総額15億円のマンションを仲介したという。

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 韓国の投資家は、母国ではキャピタルゲインを求めてきた。

 日本のマンションに相当する分譲アパートは、新築時が最も安い物件が多い。開発時には生活施設が不足し、また交通アクセスが不便なことから分譲価格は低くなる。その後、開発が進んで入居者が増えると生活環境が改善されて、不動産価格が上昇する。バス路線や地下鉄などのアクセスが向上して、数倍から10倍近くまで高騰した住宅地もある。