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韓国人にとって日本での就職は「人生リセットボタン」

 文政権発足以降、韓国の不動産価格は高騰を続け、賃料収益率は東京がソウルをはるかに上回るようになった。不動産投資顧問会社に加え、銀行も日本の不動産への投資シフトを後押しした。日本に子会社があったり、支店があったりする韓国の銀行ならではの囲い込み作戦が奏功したようだ。日本投資はノー・ジャパンと新型コロナウイルスの影響で停滞したが、日本への投資がとどまることはないだろう。

 困ったときの日本頼みは就職も例外ではない。韓国の若者の就職難は「災難」といってよい水準で、海外就職が加速し、17年に就労ビザを得て日本で就職した韓国人が2万人を超えた。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が、パソナグループと東京で面接会を実施し、グローバル就業支援プログラムの40%以上を日本に割り当てたこともある。韓国の大学で3年間、日本の大学で1年間教育を受けさせる「3プラス1」を実施し、日本への就職を推進した。

 学歴が極めて重視される韓国企業では新卒者について、まずはソウル大、延世大、高麗大など一流とされる名門大の学生を、次いで高度な資格を持つ中堅大の学生を採用していく。入社時の大学のランクが入社後の昇給や出世に影響する例も少なくない。

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 企業が社員の退職に伴ってある人材を採用した直後に、より高いスペックを持つ人が応募したことから、先に採用した人を試用期間中に解雇して、あとから応募した高スペック者を採用した例もある。とにかく学歴至上主義、スペック至上主義なのだ。

 名門大学への進学に失敗した人は韓国内で良い就職先を得ることは難しく、逆に日本の方がより高待遇の企業に就職できるチャンスがあり、人生をリセットする機会にもつながる。17年に日本で就職した韓国人の平均年俸は280万円相当(約2786万ウォン)で、韓国大手企業の大卒初任給の平均3325万ウォンより低かったものの、中小企業の2523万ウォンを上回っていた。