小学5年生の時に、母親の交際相手から性的虐待を受けた橋本なずなさん(23)。以来、そのトラウマに苦しめられ、自殺未遂を図ったこともあるという。現在、心理カウンセラーとして活動する彼女は、どのようにして自身の“心の傷”と向き合ってきたのだろうか?
ここでは、橋本さんが自身の壮絶な過去を記した著書『10歳で私は穢された』(双葉社)より一部を抜粋して紹介する。彼女が10歳のときに母親の交際相手から受けた“おぞましい行為”とは——。(全2回の1回目/2回目に続く)
母に言えなかった「おじさん」のこと
最愛の母にも話せなかった“秘密”。
それは当時、母の恋人だった「おじさん」のことです。
10歳の私におじさんが繰り返した、おぞましい行為の数々——。
もしかしたら、この文章を読むのがつらい方もおられるかもしれません。
しんどかったら、どうか、ご無理なさらないで。
私も、あなたと同じでした。
私さえ黙っていれば、我慢していれば、全部うまくいく。
あれは、悪い夢やったんや。
忘れるんや。
何度そう思ったことでしょう。
いや、思おうとしたことでしょう。
でも、忘れられるわけなんかない。
10年以上も前のことなのに、フラッシュバックは今も私を追いかけ、捕らえ、容赦なく襲ってきます。
お前は、穢れた存在だ。
一生、誰からも大切になどされるわけがないのだ、と嘲笑いながら。
今回、出版の機会を与えていただき、長年封印していた忌まわしい記憶をすべて明かすことを決心しました。
こみ上げる吐き気にえずき、ぐしゃぐしゃに泣きながら、それでも掘り起こしました。
私もあなたも、穢れた存在なんかじゃない。
断じて、穢れてなんかいない。
ちゃんと、ちゃんと幸せになっていい。
その思いを、どうしても伝えるために。
そして、他ならぬ私自身が、生き直すために。