小学5年生の時に、母親の交際相手から性的虐待を受けた橋本なずなさん(23)。以来、そのトラウマに苦しめられ、自殺未遂を図ったこともあるという。現在、心理カウンセラーとして活動する彼女は、どのようにして自身の“心の傷”と向き合ってきたのだろうか?
ここでは、橋本さんが自身の壮絶な過去を記した著書『10歳で私は穢された』(双葉社)より一部を抜粋して紹介する。母親の交際相手から性的虐待を受けていた彼女の“地獄のような日々”とは——。(全2回の2回目/1回目から続く)
地獄の日々の始まリ
その日から、おじさんの行為は徐々にエスカレートしていきました。
狙われるのは決まって、母がトイレに立ったわずかな時間や、入浴中で目が届かない時。
後ろから手を回して胸を揉んだり、ベろりとなめた指先で陰部を弄んだり。
私にはっきり拒絶の意思が見えないことで、ますます図に乗ったんやと思います。
私は、おじさんのお人形でした。
されるがままやった。
なぜ、拒めなかったのか。
「いやや」と言えへんかったのか。
そう疑問に思われる方も多いでしょう。
でも、母のことを考えると、どうしても「いやや!」とは言えへんかった。
母は、離婚や息子の家出による大きなショックから、ようやく立ち直りかけていた時期やったんです。
そんな大事な時に、自分の惚れた男性が、こともあろうに娘に手を出しているなんて知ったら、どんなことになるか。
10歳そこそこの私でも、たやすく想像がつきました。
おじさんがおらんようになったら、ママは今度こそ死ぬ。
ママが死ぬのを止められるんやったら、私の体をおじさんに差し出すしかない。
そう決心したんです。
今思えば、大きな間違いやったけれど。