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おじさんのマンションで、行為はさらにえげつなく
時には、おじさんのマンションに私たち母子が出向くこともありました。
玄関を入るなり、ムッと漂ってくるヤニのにおい。
ごみ箱いっぱいに捨てられている、メビウスのレギュラーの空箱。
今でもはっきりと覚えています。
自分のテリトリーにいるという安心感もあったのでしょうか。
おじさんの行為はさらにえげつなくなりました。
「ちょっと、コンビニに買い出し行ってくるわ」
そう言い残して出て行く母の後ろ姿を、どんなに追いたかったことか。
コツコツ響くヒールの音が次第に遠のき、不気味な静寂があたりを包み込みました。
タバコくさい部屋には、おじさんと私、ふたりきり。
次の瞬間、
「ほおら、なず」
おじさんは私の前に立ちふさがると、ためらうことなくみずからのズボンのジッパーを下ろしました。
ズボンを下ろしてドス黒い男性器を突きつけられ…
大きく膨らんだドス黒い肉の塊が、目の前にむんと差し出されます。
汚い……!!
生まれて初めて大人の男性器を、それもいきり立ったものを突きつけられ、吐き気を覚えて見上げれば、おじさんはニタリと笑いかけました。
あの時、
「お前も、好きやなあ」
そんなことを言われたのか、どうか。
我慢や。
あと少しの辛抱や。
ママのためや。
私が黙っていれば、すべてがうまくいくんや。
しんどいのは、私やない。
体の中のうさぎちゃんが感じてるんや。
そう必死で言い聞かせて。
それ以上は、覚えていません。
父から受けたDVと同じように、記憶がすっぽり抜け落ちています。
生きるために、自分を守るために、私の脳は記憶することを放棄したんやと思います。