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その頃には母方だけでなく、父方の祖父母とも関係がこじれて、完全な没交渉でした。
おじさんからの性暴力は続き、私は“大人”になるしかありませんでした。
人よりも、早く。
男の子からの性的なからかいも、余裕タップリのエロい女子を演じて受け流しました。下ネタだって動じず、むしろ積極的に絡んで笑いを取るぐらいに。
「私は他の子とは違う。もう大人や」
ズタズタに傷んだ心を、見せかけの優越感とプライドでごまかしながら、どうにか生きていました。
どうしようもなく孤独でした。
「おじさん」の死
翌年、2011年の夏を迎えたあたりでしょうか。
母とおじさんの間に、だんだんと隙間風が吹いてきました。
時には私の目の前でケンカが始まってしまうことも。
何かのキッカケで声を荒げたおじさんに、母が泣きながら言い返したり。
さすがに父のように暴力を振るうことはなかったけれど、キレたおじさんは、それはそれで恐ろしいものがありました。
でも、性的虐待をしている時のおぞましさから比べれば、大したことないレベルです。
「ま一た、やっとるわ」
ケンカに明け暮れるふたりを、冷静に眺めているようなところが、私にはありました。
多い時で週に一度は我が家を訪れていたおじさんの足は徐々に遠のき、週に一度、1ヶ月に一度となり、やがて姿を見せなくなりました。
母とおじさんは、私が中学に上がる少し前に別れたようです。
数年後。
おじさんは死にました。
病気か何かで亡くなったと母から知らされて、心底ホッとしました。
不謹慎かもしれないけれど、人の死に、倒れ込むほどの安心感を覚えたのは、この時が初めてです。