1ページ目から読む
3/3ページ目

医師として命の大切さを説いてきたはずだったが…

 一方、大黒柱の修は、もともと紋別郡遠軽町の出身。地元の友人が振り返る。

「中学の頃から勉強ができてギターが趣味。教員だったお父さんの自慢の息子でした。社会人になってからもバンドを組んで音楽活動を続けていた。誘われてライブを見に行ったこともあります。

 それと2016年だったかな、中学生向けの講演に医師として出た際、たまたま会場で地元の友人と再会したらしく、自分の中学生時代の写真を使った講演の名札を『懐かしいだろ』と送ってきたことがありました」

ADVERTISEMENT

2016年ごろの田村修。自分の中学生時代の写真を使った講演の名札を自撮りしたもの

 修は医師として命の大切さを説いてきたはずだった。2021年11月、札幌市内で行われた「過労死等防止対策推進シンポジウム」では「若者の過労自殺防止」をテーマに基調講演。音源を聞くとその中で修はこう言及している。

「ご家族と同居していても、心配かけたくないからとして、相談しない、できない。あるいは、直前まで元気に装うケースも多いので。よく自殺をね、家族はね、どうして見抜けなかったんだみたいな話をする人がいますが、家族にこそ心配かけたくないから、直前まで元気だと装うケースは多いようです」

田村修(本人Facebookより)

 逮捕後、瑠奈はこう供述したという。

「自分の中には何人もの人格がある。(犯行は)そのうちの1人がやった」

 専門家の修が見抜いたのは、我が子の内面で猛り狂う復讐者の人格だったのだろうか。

◆◆◆

「週刊文春」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。

 メールアドレス:sbdigital@bunshun.co.jp

 公式ツイッター:https://twitter.com/bunshunho2386