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 平成の最初の頃、ザ・ドリフターズのメンバーだった故・荒井注さんが伊東でカラオケボックスを建てた。しかし建物の入り口が狭すぎて肝心のカラオケ機材が搬入できないという事態が発生。この痛恨の珍事はワイドショーネタとなり伝説となった。私たちはあの教訓を今も忘れないが、大阪万博も本番がどうなるかわからないという点では荒井注万博の匂いがする。

大阪万博は「災害」級なのか?

 その一方で、大阪万博は現実を映し出す鏡にもなりつつある。たとえばこれ。

『パビリオン建設遅れの大阪万博、残業上限の「例外」要請…働き方改革に逆行と反発も予想』(読売新聞オンライン7月27日)

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大阪万博の開催予定地「夢洲」(2016年) ©時事通信社

 万博協会が来年4月から建設業に導入される時間外労働の上限規制を適用しないように政府に要請。つまりパビリオンの建設準備が遅れているから時間外でも働いてほしいというのだ。アンチ働き方改革万博である。昭和だなぁ。さらには協会側には「例外規定」を使えないか探る動きもあるという。

《労働基準法で上限規制を外せると定める「災害その他避けることのできない事由によって、臨時的に必要がある場合」に万博を含められないか、という案だ。》(朝日新聞7月29日)

 大阪万博は「災害」級なのか? これには「政府内では万博は該当せず、労働基準法の改正が必要になるとの見方が強い」(読売新聞オンライン、同上)とのこと。当然だろう。

工事が進む大阪万博の開催予定地(2023年) ©時事通信社

建設業界の悲痛な叫び

 こんな皮肉も言われだした。万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、「長時間働かせようなんて、全然、命は輝いていないですよね」(建設業界の関係者・朝日新聞、同上)。

 テーマと逆になってしまう万博って一体……。

 万博協会の石毛事務総長は7月13日の会見で「年内に着工できれば開幕までに間に合う」と断言。これに対し日本建設業連合会は「何が根拠なのかわからない」と返した。

 いやー、大阪万博、盛り上がって参りました。