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自分も党首に立候補したい

日本共産党本部 Ⓒ時事通信社

 松竹氏は党トップの志位和夫氏と1年違いの1955年生まれ。一家4人が6畳間で暮らす貧しい家庭で育ち、一橋大学在学中の74年に入党した。「みんなが貧しさから解放される」という社会主義の理論に共鳴し、専従活動家に。党本部では安保外交部長という要職も務めた。2005年、党の月刊誌に寄せた論文について志位氏から、「党の立場を逸脱している」と批判され、溝が埋まらぬまま翌年に退職。再就職した「かもがわ出版」(京都市)で編集者として勤めつつ、一党員の活動も続けている。

 一方の志位氏率いる日本共産党はここ数年、衰勢が否めない。そんな正念場に「党首公選を実施すれば日本政治がマシになる」と唱えたのが、今回の松竹氏の本だ。

 そのシナリオは、党員投票による党首選の実施→党内に多様な意見があることが伝わり国民の警戒感が薄れる→外交・安全保障分野で他の野党と「共通の土俵」が生まれる→自民党への対抗軸になる議論が開始され、野党共闘が確立→自公政権を脅かす可能性が高まり、政治に緊張感が生まれる――。さらにその党首選が行われるなら、「自分も立候補したい」とまで踏み込んでいる。

 1月19日の出版と同じタイミングで、古参共産党員の鈴木元氏による『志位和夫委員長への手紙』(かもがわ出版)という現執行部批判の本が出版されたうえ、共産党への改革を期待する10人の有識者による提言書『希望の共産党』(あけび書房)も出て、大きな話題になった。しかも同時出版の裏側に松竹氏の存在があったことが週刊文春の報道で明らかになると、共産党はわずか2週間で松竹氏の除名を決めたのだ。

京都で呼び出された

党から問題視された松竹氏の著書

 ――除名と最初に言われたのは?

 松竹 確定したのは2月6日ですが、その言葉が飛び出したのは4日前の2月2日。京都南地区委員会に呼び出され、聞き取りを受けた直後でした。呼び出しは党中央の討議を踏まえたものだから、志位さんの判断でしょう。

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 斎藤 混乱は相当広がっているので、処分があるのは理解できるんです。ただ、てっきり「警告」か「(党員の)権利停止1カ月」ぐらいかと思っていました。

 松竹 ある程度の覚悟はしていましたが、やはり除名は衝撃的でした。党の歴史でも滅多にあることじゃない。「48年間の共産党員としての私の人生は何だったんだ」と。

 斎藤 処分理由は「党攻撃のための分派活動」とされています。「異論を許さないものであるかのように事実をゆがめて攻撃している」とも書いている。松竹さんが分派を作ろうとしていたのは事実なんですか?

 松竹 いやいや、全然(笑)。問題となったのは、党歴60年の大先輩、鈴木元さんが時を同じくして本を出版したことのようです。呼び出されたときもこれを聞かれた。

 斎藤 あの本は、“松竹本”よりはるかに過激でした。

 松竹 そうなんです。志位さんに対して、ただちに辞任し党首公選を行え、と書いている。実はこの本、もともと鈴木さんの持ち込みでわが社(かもがわ出版)から春ぐらいに出す予定だったのを、私が「同時に出せば話題になるから」と口説いて早めてもらったんです。その同時出版の持ちかけが「分派活動にあたる」というのです。

 斎藤 どう答えたんですか?

 松竹 「出版社だったらどこでも考えることですよ」と説明しました。やり取りを聞いていた京都府委員会の人も「販促活動として同時にしたんですね」と頷いていたんです。

 斎藤 それが「除名」となってしまった。一方で、今のところ鈴木さんのほうは「お咎めなし」なんですよね。不思議な感じがします。