整形で浮き彫りになる幼い頃の「心の傷」
整形手術で失敗してしまったという不安でいっぱいになっている患者さんには、まず今後の経過の見方や考え方についてお話しし、気持ちを落ち着かせてもらいます。
ただ、整形後、あきらかに身体醜形症の症状が悪化してしまう方もいます。
気に入らない部分を治せばすむと思っていたその問題は、じつは心の痛みだったことに、整形してみてはじめて気づいたというような場合です。
その背景には、生育環境や思考パターンの問題がやはり見え隠れします。
とくに幼少期の母親との関係が、この身体醜形症に特有の心理を生み出してしまう原因になりやすいと感じます。
整形の結果に満足できず「今度はこっちを」と繰り返す
本来は自分の自信を取り戻すために受けたはずの整形手術で、客観的には良くなっているにもかかわらず、その結果に満足できず術前より悩みが強くなってしまうのは、とてもつらいことです。そのつらさは、「今度はこっちを治したい」と修正を繰り返し、つぎつぎに自分の顔にメスを入れたくなる衝動となってあらわれます。
また、おそらくこのタイプのあなたの審美眼はとても繊細で、人が気づかないような小さな差異にも気づくほうではないでしょうか。そのため一度の整形をきっかけに、逆にアンバランスが目について気になり出してしまうのです。
けれども、何度整形を繰り返したところで「今の自分」と折り合うことができなければ、苦しみは膨らむばかりです。まず先に心の傷を癒やし、それからもう一度、整形手術が本当に必要かどうかを考えてほしいと思います。
整形には必ず、あなたにちょうど良い引き際、折り合う地点というものがあるからです。
有名私大に入り二重まぶたにしたアヤさん24歳の場合
一重まぶたを二重にする手術を繰り返し受けているアヤさん。
手術のせいでよけいに醜くなったと感じて外出ができなくなり、大学も2年留年している状況です。メンタルをもっと強くして復学したいし、目ももっと綺麗にしたいと来院しました。