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なぜ母ちゃんは俺に覚醒剤を打ったのか…「小学校の尿検査が怖くて仕方なかった」という非行少年の想い

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会

盗んでいる本人たちは、盗んではいけない理由をちゃんと分かっているのです。このことからも分かるように、「分かっている」ことイコール「できる」ことではありません。

「スーパーは自分の冷蔵庫」と言った子ども

この子たちの盗みの対象は幅広く、スーパーでお菓子を盗むこともあれば、ドラッグストアでシャンプーや柔軟剤、ディスカウントストアでドライヤーを盗んできたこともありました。

ドライヤーには驚かされましたが、今まで私が見てきた他の子たちも、驚くようなものを盗ってくることが多々ありました。

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小さいお菓子や文具から、成功していくうちに麻痺していき、何でも盗れそうな気がしてくるのですね。

「スーパーは自分の冷蔵庫」と言った子もいました。米袋やスケートボードをトレーナーの中に入れて店を出ようとして見つかった子もいます。これが、クレプトマニア(窃盗症)です。進行して深刻化していくのです。

ともすれば、ショウ君たちにもそのリスクはありました。進行を防ぐためには、怒ったり叱ったりするのではなく、きちんとした治療に繋ぐことが重要です。

盗みの認知行動療法プログラムは全10回、ショウ君はほぼ休まず参加し、とりあえず全過程を終了しました。

母親が覚醒剤使用で刑務所に

認知行動療法のプログラムは優秀で、支援者としては、とても助けになるものです。ただ、そのプログラムだけで盗みがやめられるかというと、そう簡単ではありません。

根本的な「盗まなければならない理由」があれば、どんなに頭で理解しても心がザワザワして、また盗ってしまうのです。

だから、プログラムだけではなく、彼の抱えている心の傷や日常生活での課題を解決していってあげなければ、真の再発防止はかないません。私には、そのミッションも残されていました。

当初私が聞いていたショウ君の家庭的背景として、まず母親が覚醒剤使用で刑務所にいる点が問題でした。会いに来るという約束を破って、突然捕まり刑務所に行き、何年も音沙汰がなくなっていたので、ショウ君から母親への信用はありませんでした。

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