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なぜ母ちゃんは俺に覚醒剤を打ったのか…「小学校の尿検査が怖くて仕方なかった」という非行少年の想い

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会

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幼いころ亡くした兄の死因は不明

また、幼いころに兄を亡くしていました。当時、警察や児相が介入して捜査・調査しましたが、死因を含めて詳細は不明でした。

母親の話によると、椅子から落ちて頭を打った、とのことでした。

小学校の低学年のころから家出を繰り返し、家に帰りたがらなかったことから、児相に一時保護され、施設暮らしが長い子でした。

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兄との死別、母との予期せぬ分離など、彼の心の傷が深いものであることは想像に難くありませんでした。

私は、その傷にも触れるべき時機だろうと考えていました。

何をやっても問題行動が収まらないときは、傷が心の中で膿んでしまっている状態なのです。心の外科的手術が必要な時もあります。

「自分の子どもを殺しても罪にならんと?」

私は、彼の心の奥深く閉ざされた傷のことが気になっていました。彼の前で、幼いころの話に意図的に触れていました。

するとあるとき、車の中でショウ君が急に私に、「親やったら自分の子どもを殺しても罪にならんと?」と訊いてきたのです。

私が驚いて「え? なんで?」と言うと、「俺の兄ちゃんは祖父ちゃんに殴り殺されたのに、祖父ちゃんは捕まらんかったもん」と話し始めたのです。

兄の死は事前情報でも聞いていた話だったので、引き込まれました。ショウ君はその時は3歳か4歳くらいで、記憶があるのかないのか、その事実を知っているのかすら、現在の関係者の中に知っている者はいませんでした。事実はベールの中です。

「お兄ちゃんの死について何か知ってるの?」と尋ねると、「はっきり覚えているよ。だって隣にいたから」と言うではありませんか。

お祖父ちゃんが側頭部をグーで思い切り殴った

今だったら事実確認面接など行われていたかもしれませんが、当時はまだ幼いからと、児童相談所や警察からの聴き取りはされていなかったそうです。

お兄ちゃんの食事の時の行儀が悪くて、お祖父ちゃんが側頭部をグーで思い切り殴った。その殴られた勢いでお兄ちゃんが椅子から落ちて、倒れて、そのまま顔がワーッと青ざめていって、動かなくなった。