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なぜ母ちゃんは俺に覚醒剤を打ったのか…「小学校の尿検査が怖くて仕方なかった」という非行少年の想い

source : 提携メディア

genre : ニュース, 社会

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小学生、それも低学年の子が夜道より怖がる家とは、一体どのようなものなのか。

私たち大人は、どのくらいこの子たちの痛みを分かってあげられるのでしょうか。

その後ショウ君は、児童相談所に保護されて、施設に入所することになりました。

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それでやっと、安心して暮らすことができるようになったそうです。

傷つくことが多すぎて、麻痺してしまっていた

お母さんはその後も結局、覚醒剤で何度も捕まって刑務所を出入りすることになりました。この頃にはすっかり母親への期待を失ってしまっていたので、傷つくこともなかったと言います。

傷つくことが多すぎて、麻痺してしまっていたのではないかと思います。

ふいに車の中で封印から解かれた話を聞くことになって、彼が普通の高校生が当たり前にできることができなくても、それは当然だと思いました。

彼は、これまで普通の子がしないような体験をしながら生き抜いてきたサバイバーなのです。今まで頑張ってきた分、たっぷり休んで、充電する必要があると感じました。

けれど一方で、自立の時は迫ってきます。その自立の時までに、充電期間が間に合ってくれるかということが私の大きな気がかりでした。どうか間に合ってくれと祈るような思いでした。

堀井 智帆(ほりい・ちほ)
元福岡県警少年育成指導官
1977年、横浜市に生まれる。西南女学院大学福祉学科卒業。児童養護施設勤務をへて、福岡県警察本部北九州少年サポートセンター勤務。少年非行の根っこに寄り添い、その背後にある虐待の問題に取りくむ。2020年10月、NHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演、大きな反響をよぶ。2022年、同センターを退職。現在はフリーの立場で子ども相談、講演活動などを行う。著書に『非行少年たちの神様』(青灯社)。
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