ボクシングや絵画など、自分の興味のある分野に力を入れる南海キャンディーズのしずちゃん(44)。本業である「お笑い以外の分野」に力を入れたことで、逆に人生が豊かになった理由とは?(全2回の2回目/前編を読む)

「ボクシング」や「絵画」など、お笑い以外の分野がしずちゃんに与えてくれたものとは? ©杉山秀樹/文藝春秋

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「ボクシング」に打ち込んだ理由

――相方の山里亮太さんの著書が原案になっているドラマ『だが、情熱はある』では、しずちゃんのことも取り上げられていましたが、ご本人としてはどう思われていたんですか?

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しずちゃん 演者さんやスタッフさんの熱が高くて、本当にすばらしい、すごいドラマやなって思いました。漫才のシーンもそのまんま再現してくれて、面白かったし、ありがたいです。

 あのドラマが放送されていた時期に、私たちの漫才もめちゃくちゃウケたんです。登場前に「南海キャンディーズ」っていう名前が出ただけで客席から「ワーッ!」ていう歓声があがって。自分たちの全盛期なのかなって勘違いしちゃうぐらい反応があって、それもありがたかったですね。

――しずちゃんはおっとりしたマイペースな人だというイメージがあったんですが、ボクシングだけはものすごく集中して真剣に取り組んでいましたよね。その姿がもともとのイメージと結びつかなかったんですが、この本を読んだことでその背景が理解できました。

しずちゃん たしかにボクシングを始めた頃は、周りの人も「なんで?」っていう感じでした。芸人やってんのに、別にやらんでいいやん、オリンピック目指すって何言うてんの、って。誰もまともに聞いてくれないような状態でした。

 いま振り返ると、ボクシングに関しては別人みたいになってたなって思いますね。あそこまでのことを今やれって言われても、体力的にも無理ですし。やっぱりタイミングと若さと(梅津正彦コーチとの)出会いがなければやってなかったです。

 でも、あのときの自分があったから、今の自信につながっていたり、ほかの仕事もやらせてもらえると思うので。ボクシングっていうのは私にとってはなくてはならなかったものですね。

――やっぱりボクシングをやっていたのは人生の中でも特別な時期だったんですね。