「南海キャンディーズ・山里亮太とオードリー・若林正恭の半生がドラマ化」という一報を知ったのは、今年2月のことだった。

 山里・若林の両人といえば、日本テレビが2009年に主催したお笑いライブ『潜在異色』にて「たりないふたり」という漫才ユニットを結成。お笑い界のエース同士でありながら人見知りで、社交性やら社会性の諸々が“たりない”と嘆くふたりのコンプレックスを剥き出しにしたネタは、瞬く間にファンを増やした。

 惜しまれつつも2021年に解散してしまったが、ラストライブは55000人超の観客がネット越しに見守り、のちに全国68箇所もの映画館で上映された。

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 ふたりを演じるキャストが発表されたのは、情報解禁から1週間後。なんと山里役にはSixTONESの森本慎太郎、若林役にはKing & Princeの髙橋海人が抜擢され、ネットは賛否両論の嵐だった。

 たりているどころか、むしろ“たりすぎている”ジャニーズに、負け組意識の高い芸人役がつとまるのかと懸念する声も、至極真っ当である。むしろ「たりないふたり」の矛先は、ジャニーズのような人気者たちに向けられていたはずだ。

 しかし「またジャニーズか……」と落胆の声が上がる一方で、森本慎太郎、髙橋海人、さらに『野ブタ。をプロデュース』や『泣くな、はらちゃん』(どちらも日本テレビ系)の河野英裕プロデューサーの名前を見た私は、この無謀ともいえるプロジェクトの成功を確信した。これはイケる、と思ったのだ。

ジャニーズ主演のドラマは本当に多いのか?

 その理由を書く前に、まずは「またジャニーズか……」について検証したい。「またジャニーズか……」と落胆する人たちの言う通り、世間はジャニーズのドラマで溢れているのだろうか?

 原稿的には「それは気のせい」と書きたかったのだが、本当に多かった。特にこの4月から始まる春ドラマは、とりわけ多い。

 木村拓哉主演の『風間公親ー教場0ー』(フジテレビ系)に始まり、Hey!Say!JUMP・山田涼介の『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)、ジャニーズWEST・重岡大毅の『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)などなど……。数えてみれば、ジャニーズ出演の春ドラマは現段階で15本以上。さらに今年は、当時V6に所属していた、岡田准一主演『軍師官兵衛』以来のジャニーズ大河『どうする家康』が通年放送中である。