役者としての才能を開花させたのは、河野プロデューサーが指揮を取り、テレビドラマ・映画・Huluオリジナルエピソードと三展開を見せた2019年の『ブラック校則』(日本テレビ系)。地味な男子高校生・創楽(佐藤勝利)が好きな子の“自分らしさ”を取り戻すために、抑圧するブラック校則と教師たちに反旗を翻す学園ドラマだ。
髙橋が演じた中弥は、クラスのお調子者キャラだが本質をつくような鋭さがあり、突飛な行動で周囲を驚かせるトリッキーな役どころ。此元和津也による脚本には同作『セトウツミ』を彷彿するような砂浜での駄弁りシーンがあり、いかにも現代っ子らしい髙橋のテンポ感と自信なさそうにボソボソとつぶやく佐藤の掛け合いが絶妙で、立派な会話劇に仕上がっていた。
その後は、有村架純と共演した『姉ちゃんの恋人』(カンテレ系)や『ドラゴン桜』(TBS系)の第2シリーズなど話題作への出演が続くのだが、髙橋の十八番といえば、どこか気だるさが滲むイマドキの若者。最近で印象的だったのは、昨年に公開された映画版『Dr.コトー診療所』の織田だ。すでに超人気医療ドラマとして作品が確立されている中、16年ぶりに制作された映画のみに登場するキャラクターというだけでも難役だが、離島の医療問題に打ちのめされる新米医師の苦悩を見事に体現した。
人気グループの、“じゃない方”のふたり
ジャニーズのアイドルと聞くと、華やかな姿だけを想像しがちだが、その称号に似合わぬ挫折や苦渋を味わってきたふたり。人気グループだけれど、センターでもなければ、芝居班として一番に名前が上がるメンバーでもない(King & PrinceとSixTONESには、朝ドラ経験者兼日本アカデミー賞受賞者という強力な芝居班がいる)。もしかしたら世間的には、まだまだ“じゃない方”のふたりが、「たりないふたり」に共鳴する部分もあるのではないかと思ってしまうのだ。
たとえそうだとしても、『だが、情熱はある』への出演で、そのイメージは払拭されることだろう。先週放送された第1話のナイスアクトを見て、さらに期待が高まった。「ジャニーズに芸人役がつとまるのか?」そんな色眼鏡は外して、純粋に作品を楽しみたい。