佐川宣寿 財務省理財局長(当時)
「売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う」
朝日新聞デジタル 2017年3月19日
3月9日、これまで“逃亡”を続けてきた前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官が辞任の意向を固めたことが明らかになった。森友学園問題に関して、財務省理財局長として国会で行った答弁が「虚偽だ」と指摘されており、混乱の責任を取った形だ。では、どのような言葉があったのか、あらためて振り返ってみたい。
佐川氏は昨年の国会で森友学園側との交渉記録は「廃棄した」と何度も答弁してきた。その最たるものが、昨年2月24日の衆院予算委員会で発せられた冒頭の発言だ。そして、「廃棄」とともに繰り返されたのが「適正」という言葉である。
「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」
毎日新聞 2017年2月17日
「適正」だという根拠の交渉記録を求められると「廃棄した」と繰り返す。どうせいっちゅうねん。挙句の果てには、次のようなトンデモないことまで言い出した。
「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」
朝日新聞デジタル 2017年4月10日
この“自動証拠隠滅システム”についてはネット上でも話題になり、発言の4日後の4月7日に中尾睦理財局次長が「自動消去機能というのは基本的にございません」と訂正した(毎日新聞 2017年5月16日)。
また、佐川氏は昨年3月15日の衆院財務金融委員会では次のように答弁している。
「価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方から、いくらで買いたいといった希望があったこともない」
毎日新聞 2017年12月4日
佐川氏の答弁が虚偽だったことはすでに明らかだ。
佐川氏が「廃棄した」と答弁していた交渉関連記録は残されていた。財務省近畿財務局は今年1月、交渉に関連する文書5件を開示している。これらの文書には、「(新たなごみの)撤去費を反映させた評価額で買い取りたい」などとする学園側の要望事項や国の対応方針が明記されていた(朝日新聞デジタル 1月30日)。2月1日には佐川氏の後任の太田充理財局長が、これら以外にも内部文書が存在することを認めている。
また、森友学園の籠池泰典前理事長と財務省近畿財務局の担当者が事前に価格交渉していたとされる音声データの存在も明らかになった(日テレNEWS24 2017年11月27日)。売買交渉の中では、近畿財務局の職員が「1億3千を下回る金額というのはない」などと学園側に伝えていた(朝日新聞デジタル 2017年11月27日)。