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「レース展開は絶望的だった」17歳の女性チャンピオン・Jujuが総勢6名の弱小チームと挑んだ“F1の登竜門”で奇跡の大逆転を起こせたワケ

17歳レースドライバー・Jujuの軌跡 #1

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 Jujuも「周りからも、無謀なチャレンジだと何度も言われた」と振り返る。

「私たち自身もかなり難しい状況だと理解していました。現実的に考えてトップ5に入れるかどうか。シーズンを通して、1回でも表彰台に乗れたら最高だねって」

 事実、開幕戦は絶望的だった。ストレートでの最高時速で10km以上の差をつけられ大敗。ここまで差があると「コーナーでいくら巻き返そうと、見えなくなるくらい遠くに引き離される」という。

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開幕戦では大きく引き離されたが…(撮影=Tatsuya ENDOH/遠藤樹弥)

「正直、これは勝負にならない。このまま挑み続けても、私もチームも終わる」

沈みかけた心に灯った“父との約束”

 沈みかけた心に灯ったのは、幼い頃に父と交わした約束だった。

 ”負けても負けても諦めない”――。

「父から『ドライバーになれ』と言われたことは一度もありません。むしろ『少しでも迷いがあるなら、早くやめた方がいい』と。F1の世界で戦っていた父は、レースをして生きていく過酷さを誰よりも知っている人ですから」

 けれど、Jujuが前を見据えて進み続けるのならば、全力で応援する。負けたって構わない。そこで歯を食いしばってもう一度立ち上がるのなら、それは意味のある負けになる――父の教えとチームの支えが、彼女を奮い立たせた。

沈みかけた心に灯ったのは、幼い頃に父と交わした約束だった(Instagram@juju_mikan0202より)

「モトパークに対して、私たちのマシンはどこが劣っているのか、どこが勝っているのか。些細な点まで徹底的に洗い出し、チーム全員でエンジニアを訪ね歩いて研究を重ねました。マシンのチューニングも耐久性ギリギリまで攻めてもらって。実は、ライバルチームのメカニックが私たちのピットにやってきて『Jujuならモトパークに勝てる。俺たちの分も頑張ってくれ』と作業を手伝ってくれたんです。あとは私が、チームで導き出した"チャンスを開ける走り”をできるかどうかでした」

 F1という最高峰の舞台でしのぎを削ってきた父・英樹は、「レーシングドライバーにおいて、速いというのは最低条件。トップを争うにはフィジカル、メンタル、センスなど、プラスアルファがものを言う」と語る。

静かに闘志を滾らせるJuju(撮影=Tatsuya ENDOH/遠藤樹弥)

「Jujuの最大の武器は、開き直りともいえるほどの意志の強さ。何があろうと絶対に折れない、揺るがない。そして思い描いた理想の走りを、現実にできるセンスも持っている。サラッとやってのける姿を見ると、同じドライバーとして格が違うと感じますね」

 闘志に火がついたJujuは、凄まじい追い上げを見せた。

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