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「偏食がひどく、暴言を吐く」発達障害の疑いで小児科を受診した4歳女児の家庭で起きていたこと

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

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多くの子どもたちが発達障害を疑われている背景にあるものをお話していきましょう。文科省は2000年に「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」を行いました。その最終報告で、会議に集まった研究者たちが「通常学級にいる特別な教育的支援を必要とする児童生徒に積極的に対応することが必要」という意見を出したのです。これを受け、2002年に「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」が行われました。

この調査は、小中学校の通常学級の中に発達障害の芽を持つ、特別な支援が必要な子どもがどのくらいいるのかを把握するため、教員に対してアンケートをとるかたちでおこなわれたのです。この結果、通常学級の中には6.3%、人数にして2~3名(40名学級の場合)もの「特別な支援を必要とする児童生徒」がいることが明らかになりました。

写真=iStock.com/StockPlanets ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/StockPlanets

「この子も、発達障害なのかもしれない」と思う教師や親

発達障害の可能性のある子どもが6.3%いるという数字が出たことで、発達障害という言葉と概念は急激に日本の教育現場に広がりました。ただ、これらの調査は、発達障害を診断できる専門家が行ったものではありません。学校現場にいる教師が児童の言動を評価するかたちで行われたものであり、明確な診断基準に照らし合わせて行われたものではないのです。それなのにこの数字は、発達障害の子どもの「本当の在籍率」を示しているかのように広がっていったといえるのです。

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教師や親御さんの子どもを見る目の中に「発達障害」という選択肢が1つ追加されたことにより、「この子も、発達障害なのかもしれない」と思う方が劇的に増えたのも事実です。先生の話を無視して歩き回る子、みんなと同じ行動ができない子、すごく不器用な子……。これまでは、少し手がかかるだけと思われていた子どもたちが、発達障害という枠に当てはめられるケースも現実には増えたように思います。