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「偏食がひどく、暴言を吐く」発達障害の疑いで小児科を受診した4歳女児の家庭で起きていたこと

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

note

からだの脳を育てる暮らしは、自然界で生き延びる原始人の暮らしと同じなのです。からだの脳には、危険が迫ったときに指令を出し、そこから逃げるという働きもあります。おりこうさん脳が発達していて、高度な計算ができ、何カ国語もの言葉をしゃべれたとしても、からだの脳が育っていなければ「自分が今、危険ではないか、逃げるべきか逃げないべきか」の判断は、できません。この判断ができなければ、人は死にます。原始人の生活で培えるのは、自分の命を守り、生きていくためのスキルなのです。

※「*」がついた注および補足はダイジェスト作成者によるもの

コメントby SERENDIP

本書の中で、近年は子どもに限らず大人も「逃げる」ことができなくなっていると著者は示唆している。例えば過労死は、寝る暇も食べる暇もない状況から逃げ出すという判断ができなくなっているのだが、これは命を守る「からだの脳」がうまく機能していないためだという。脳を育てる一番のものは「睡眠」だと著者は強調するが、子どもの睡眠不足も大人と同様に命に関わると重く受け止めるべきなのだろう。発達障害と疑われる子どもが増えていることは、現代の子どもが穏やかに眠れない環境にあるという一つのSOSなのかもしれない。

成田 奈緒子(なりた・なおこ)
文教大学教育学部 教授、「子育て科学アクシス」代表
1963年、仙台市生まれ。米国セントルイスワシントン大学医学部、獨協医科大学、筑波大学基礎医学系を経て2005年より文教大学教育学部特別支援教育専修准教授、2009年より現職。2014年より子育て支援事業「子育て科学アクシス」代表。主な著書に『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(山中伸弥氏と共著、講談社+α新書)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)、『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』(共著、産業編集センター)、『高学歴親という病』(講談社+α新書)、『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春新書インテリジェンス)など。
「偏食がひどく、暴言を吐く」発達障害の疑いで小児科を受診した4歳女児の家庭で起きていたこと

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