文春オンライン

「偏食がひどく、暴言を吐く」発達障害の疑いで小児科を受診した4歳女児の家庭で起きていたこと

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

note

「からだの脳」が育っていない子は勘違いされやすい

人間の脳は生まれてから約18年をかけて、さまざまな機能を獲得しながら発達していきます。そして脳の発達する順番はどんな人でも同じです。まず最初に発達するのが、脳の一番中心にある「からだの脳」、その次が大脳にある「おりこうさん脳」、最後に育つのが前頭葉にある「こころの脳」。

からだの脳は、脳幹や間脳、小脳、扁桃体にあたる部分で、人が自然界で生きるのに欠かせない機能を担っています。おりこうさん脳とはからだの脳を覆っているしわしわの部分で、この脳の働きにより言葉を獲得し、話すことができます。こころの脳は人を思いやって行動することなど、まさに「人らしい能力」をつかさどる部位です。

脳の発達を「家づくり」にたとえてみましょう。家全体を支える1階が、からだの脳です。からだの上に乗る2階はおりこうさん脳。からだの脳とおりこうさん脳をつなぐ階段の役割を果たすのが、こころの脳です。社会で生きていくために必要な力(相互コミュニケーション力など)、発達障害の人が苦手とする力は、からだの脳の上に建った2階の部分、または階段部分にあります。

ADVERTISEMENT

そして、土台となるからだの脳ができていないと、おりこうさん脳とこころの脳は、しっかりとそこに在ることはできません。脳のバランスが崩れた結果、「落ち着きがない」「集団行動ができない」「ミスや忘れ物が多い」などの行動が出たり、学校生活などがうまくいかなくなることは多々あります。実は、これらの行動が発達障害で現れる症候によく似ているので、からだの脳が育っていない子は、「発達障害」と勘違いされてしまうことも往々にしてあるのです。

子育てで大切なのは「子どもを立派な原始人にすること」

発達障害もどきでも、そうでなくても、すべての子どもを育てる上で大切なことは共通しています。それは、「子どもを立派な原始人にすること」です。脳の中で一番に育てるべきは「寝る・食べる・動く」をつかさどり、生きるために欠かせない働きをするからだの脳です。からだの脳を育てるためには、早起きをし、しっかり食べ、よく寝ることをくり返すのが大事ですが、「日が昇ったら起きて、生きるためにしっかり食べて、日が沈んだら身を守るために安全な場所ですぐ眠る」これは、まさに原始人の生活と同じです。