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「知らない」ままを望む人もいる

 取材を終えた記者は、部隊による残虐行為に対する元幹部たちの反省なき態度を感じたと書いている(8月17日)。

 そして、

《部隊の実態について証言できる関係者が亡くなり、記録は残されず、部隊の存在そのものが忘れ去られる――。敗戦時に残虐行為の証拠を徹底的に消し去り、戦後も口を閉ざし続けた部隊の元幹部が待ち望んでいたのは、まさにそうした社会だったのだろう。》

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 ゾッとする。私たちが「知らない」ままを望む人もいるのだ。検証や語り伝えが必要な理由がわかる。新聞やテレビの役割はここにあるのではないか。

歴史から目を背ける小池知事

 731部隊だけではない。先日、関東大震災から100年が経過したが、こんなニュースがあった。

『小池知事、今年も追悼文送らず 関東大震災の朝鮮人慰霊式典 東京』(時事通信9月1日)

《東京都の小池百合子知事は、1日に都内で行われた関東大震災の朝鮮人犠牲者を慰霊する式典に追悼文を送らなかった。送付の取りやめは2017年から7年連続。小池氏は同日の定例記者会見で、理由について「毎年(都慰霊協会が営む)大法要において、都知事として犠牲となった全ての方々への哀悼の意を表している」と述べた。》

小池百合子 ©文藝春秋

 朝鮮人による暴動が起きている、などのデマがきっかけで虐殺は起きた。あの石原慎太郎元知事でさえ送っていた追悼文だが、2017年からとりやめている小池都知事。その理由について大法要において「犠牲となった全ての方々へ」哀悼の意を表しているというがこれは話のすり替えだ。朝鮮人犠牲者は地震で亡くなったわけではない。デマによって起きた虐殺で亡くなったからだ。小池都知事は歴史の事実に向き合おうとしなくなったと言える。