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女子高生がアパートのドアノブにかけたお弁当を…
実は筆者は、この伝説の“5時間待ち”の現場にテレビ誌の記者として居合わせていた。一向にいしだのOKカットが出ず現場の緊張感が高まる中、福山はスタッフたちに好きな海外ミュージシャンの話などを投げかけて、場の空気を和らげていた。
おぼろげだが、ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーン、日本アーティストでは佐野元春やルースターズの名前を出していたと記憶している。
『ひとつ屋根の下』当時の福山はまだ5万5000円のアパートに住んでいて、「近所の女子高生がバイト先の賞味期限切れ弁当を入れた袋をこっそりアパートのドアノブにかけてくれていた」という。しかもそれを警戒するでもなく、夜に帰宅してお弁当がかかっていると「今日もあった!」と喜んで食べていたと聞いたことがある。
ドラマの中ではエリート役でジャケット姿も多く、私服もオシャレだったが、当時の福山にはそんな庶民的な一面があったのだ。
そもそも『ひとつ屋根の下』の6人きょうだい役は年齢が近かったこともあり仲がよく、「食卓を囲んでの夕食シーン」の撮影が終わってもずっと談笑が続き、監督やスタッフから「はいはい、次のシーンに移りますよ」と促されることもしばしばだった。
若手俳優とはいえ、月9のメインに抜擢されて天狗になってもおかしくない状況でも決して浮かれなかった福山。そんな彼が今も第一線で活躍するのは当然なのかもしれない。