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「私は(それまで)古典的な財政再建論者だったんですが、今では財政再建と積極財政は両立すると思っています。成長分野にしっかり働きかけていく積極財政はその通りだなと思うようになった。安倍元総理とは最後まで意見がぴったり一緒ではなかったですが、有益(な議論)だったと思います」

安倍総理はLGBT理解増進法を理解していた

 他方、稲田氏が保守派の激しい批判を浴びることになった契機は、今年の通常国会で成立したLGBT理解増進法だ。稲田氏は改めてこの法律を評価し、批判する保守派の姿勢に疑問を呈した。

「LGBT理解増進法が成立したことは、大きな前進だと思っています。内閣府に性的マイノリティの問題の(担当)部署ができて、当事者もいろんな要望をすることができますし、様々な計画を立てるにしても、省庁横断の協議会ができる。(一方、)法律によって女装した男性がお風呂に入ってくるとか、女装した男性がトイレに行って女性の権利を侵害するとか、全く次元の違う話になってしまっているところが非常に問題だなと思います。もっと建設的な議論をするのが保守のあるべき姿だと思うんです」

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稲田氏が政調会長として迎えた2014年の総選挙 ©文藝春秋

 だが保守派からは、「性自認」を認めることは、皇位継承を「男系の男子」とする原理を揺るがしかねないとする批判も出ている。その点を稲田氏に質すと、「性的マイノリティの権利を理解する法律が、なぜ皇統を壊すことになるのか。すごく飛躍を感じる」と反論した。

 さらに稲田氏は、安倍元総理は2年前からこの法律の必要性は理解していたとも主張した。

「安倍総理は理解してくれていると思っていました。なぜなら(性的指向・性自認に関する)特命委員会を作るときも、理解増進法を作ることも党の方針ですぐに決めたんです。また、ずっと(自民党の)公約にもなっていました。ただ法案の修正で『差別は許されないという認識の下』と書いたことについて安倍総理は、自分の答弁は『不当な差別はあってはならない』だというのにはこだわっていた。ただ私は『(その2つの文言は)法的には同じ意味です』と安倍総理を説得していました」