「熊川さんは今年の1月9日にこの家に引っ越してきました。同じ年ごろの奥さんと1歳半くらいの娘さんと3人暮らし。あと、チワワと猫も1匹ずつ飼っていました。
とてもあんな事件を起こすような人には見えなかったですけどね。覚えているのは、8月23日に熊川さんから『妻の故郷の福岡に急きょ引っ越すことになったので退去したい』と電話があったこと。あまりにも急だったので驚きましたが、9月2日には荷物をすべて出して、家の鍵も返してもらいました。今思えば、逮捕を恐れてのことだったのかな」
熊川容疑者が大阪府警に逮捕されたのは、家を引き払った4日後のことだった。
熊川容疑者に訪れた“変化”
熊川一家がこの家に住んでいた約8カ月の間にはたびたび“家賃の滞納”があったという。Aさんが続ける。
「家賃は月4万8000円。支払いが遅れがちの人でした。催促の電話をすると、翌日に振り込まれるということが何度かありました。入居時の審査で、熊川さんの給与明細を見せてもらったことがあります。額面で25万くらいもらってました。奥さんも娘さんを近くの保育園に預けてパートに出ていたようです。強盗するほどお金に困っているようには見えませんでしたが……」
Aさんは熊川容疑者について、「白昼堂々、7000万円を強奪する人物とは夢にも思わなかった」と繰り返した。
「熊川さんは165~170センチくらいの大柄な方で、体重は100キロを超えてたんじゃないか。『なかなか2桁にならないんです』なんて話をしていましたから。また、見えないところに刺青を入れていたはずです。お酒は飲まないようでしたが、電子タバコはよく吸ってましたね。身なりはいたって普通でした」
だが、強盗事件が発生した7月18日以降、熊川容疑者にはいくつかの“変化”が生じたという。
「8月1日ごろだったと思います。家賃が振り込まれていなかったので熊川さんに催促の電話をかけたところ、『この番号は現在使われていません』とアナウンスされて。あれ? と思って奥さんの携帯に電話したら『主人は最近、携帯を買い替えたんです』と言われました。それから、ある日突然、髪を金髪に染めて。それまでは黒髪だったので、だいぶ印象が変わった」(Aさん)