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《埼玉本庄5歳児虐待死事件》暴行死した歩夢くんの遺体を裸にし、‟生ゴミ発酵促進剤”をふりかけ土中に…“悪魔じみた提案”を受け入れた実母「涙の告白」

《埼玉本庄5歳児虐待死事件》暴行死した歩夢くんの遺体を裸にし、‟生ゴミ発酵促進剤”をふりかけ土中に…“悪魔じみた提案”を受け入れた実母「涙の告白」

埼玉本庄5歳児虐待死公判#3

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

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 2022年3月、埼玉県本庄市の借家の床下から虐待死した柿本歩夢くん(当時5)の遺体が発見された事件は、実母の柿本知香(31)、無職の丹羽洋樹(36)と石井陽子(55)――3被告のうち、知香と丹羽の公判がさいたま地裁で行われている。歩夢くんは、なぜ命を落としたのか。法廷では、3人の大人が寄ってたかって5歳児を死に追いやった傷害致死、死体遺棄事件の全貌が詳らかになった。(最初から読む)

◆◆◆

月14万円の給料を石井に搾取されていた

 大阪府出身の知香は、実家の家族に結婚に反対され、駆け落ちして本庄市の男性と一緒になった。だが、夫のDVやギャンブル癖による借金に苦しみ、歩夢くんを連れて逃げ出した。行き場所を失い、流れ着いた先が、無職の内縁夫婦だった丹羽と石井が暮らす本庄市の借家である。

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事件現場となった柿本知香被告らの本庄市のかつての自宅 ©共同通信

 2021年1月中旬から丹羽と石井の家で居候を始めた柿本母子は、同居するにあたって誓約書を書かされていた。ルールの1つはお金の管理を石井に任せること。派遣社員として電器メーカーの工場で働いていた知香は、月14万円の給料のうち、2万円は食費に。知香のスマホ代や歩夢くんの保育園費用役1万円を除き、残りは石井が投資に回し、200万~300万円になったら、それを元手に自立させてもらう約束だった。

「実際は分離して裁判が行われる主犯格の石井に使い込まれ、事件後、知香の口座に残っていたのは1000円以下だったそうです。同居のルールには、コロナが流行っていたからか、『健康でいること』のほか、『歩夢くんは夜9時に寝かせること』『挨拶をさせること』『石井と丹羽のプライベートの部屋には立ち入らないこと』などがあった」(司法担当記者)

6年前の石井陽子被告

石井からの連絡で仕事を早退して帰宅すると…

 丹羽と石井の家では、同居直後から、歩夢くんへの「躾」と称する虐待が始まった。生活の拠点を失いたくない知香は、石井や丹羽に逆らおうとせず、虐待は次第にエスカレート。最悪の事態が起きたのは、2022年1月18日のことだ。

 午後3時前、知香のスマホが何度も着信を知らせていた。勤務中はスマホに触れてはいけないルールだったが、あまりの入電頻度に、知香はトイレに入ってスマホを確認。相手は石井だった。連絡を取ると、いつにも増して激怒している。

「歩夢がお漏らしをしたのに、何も言わずにご飯を食べているのよ。すぐ帰ってきて、厳しく叱って!」

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