文春オンライン
《埼玉本庄5歳児虐待死事件》「いらねえよ、お前」歩夢くんを激痛と絶望の果てに死なせた‟被告夫婦”が別に起こした‟4歳児童暴行事件”

《埼玉本庄5歳児虐待死事件》「いらねえよ、お前」歩夢くんを激痛と絶望の果てに死なせた‟被告夫婦”が別に起こした‟4歳児童暴行事件”

埼玉本庄5歳児虐待死公判#4

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会

note

 2022年3月、埼玉県本庄市の借家の床下から虐待死した柿本歩夢くん(当時5)の遺体が発見された事件。傷害致死、死体遺棄などの罪に問われた実母の柿本知香(31)、無職の丹羽洋樹(36)と石井陽子(55)――3被告のうち、8月28日から知香と丹羽の裁判が始まっている。

 丹羽の内縁の妻だった石井は「中村葵」、「丹羽葵」と本名を偽り、年齢を21歳もサバ読んでいた主犯格。裁判は、2人と分離して行われることになる。

石井陽子被告

 9月1日の論告求刑。検察側は知香に懲役12年、丹羽に懲役15年をそれぞれ求刑した。

ADVERTISEMENT

◆◆◆

母・知香の腕の中で息を引き取った歩夢くん

 丹羽と石井の家に柿本母子が居候を始めた2021年1月以降、幼い歩夢くんは、大人3人から1年にわたって壮絶な虐待に受け、2022年1月18日に命を落とした。その日も石井の指示で、母の知香と丹羽が「躾」と称して歩夢くんを暴行。歩夢くんが瀕死の状態に陥っても、大人たちは救急車を呼ばず、絶命後、遺体を和室の床下に埋めた。歩夢くんが息を引き取ったのは、母である知香の腕の中だった。 

「結婚して大阪から本庄に来た知香さんは、夫のDVやギャンブル癖が原因で、歩夢くんを連れて家を出ました。歩夢くんは手を出されていなかったようですが、DVは本人の目の前で行われていたので、父親をとても怖がっていました。そんな環境からママと一緒に逃げ出したはずなのに、石井たちの家で暮らすようになってから、歩夢くんは保育園でも叱られると、固まってうまく話せず、目が泳ぐようになりました。美人と評判だった知香さんもノーメイクで身なりにも気を使わず、周囲と付き合わなくなってしまって。歩夢くんは、本当はママが大好きな、素直ないい子でした」(保育園関係者)

柿本被告と歩夢くん(柿本のフェイスブックより)

知香のママ友・X子さんの息子も暴行を受けていたことが発覚

 2020年の夏、DV夫の元から逃げ出した知香は当初、歩夢くんを連れ、保育園で知り合ったママ友のX子さんのアパートに身を寄せていた。丹羽と知香の初公判では、そのX子さんが出廷。実は、丹羽が起訴された事件の1つが、彼女の息子Yくん(当時4)に対する暴行だった。

 近所に住む“丹羽夫婦”と親しくなったシングルマザーのX子さんは、歩夢くんと同い年のYくんを2人の家に預けることがあった。2021年2月28日。X子さんの所用で石井らの家に預けられたYくんは、お漏らしをしたとして石井の𠮟責を受けた。すると、丹羽が「いらねえよ、お前」と、Yくんの頭を手加減なく平手打ち。丹羽に体を担ぎ上げられ、恐怖を感じたYくんは、泣き叫びながら小さな手を伸ばし、室内灯の紐を掴む。丹羽は彼を下ろして、再び平手打ちをして、風呂場に連行。この場面は、丹羽が飼い猫用に設置していたペットカメラに収められていた。Yくんが“丹羽夫婦”を怖がるようになり、X子さんはその後、2人との交流をやめたが、歩夢くんの事件が起きるまで、我が子の被害を知らなかった。法廷でX子さんはこう断言した。

「私の大切な子供を傷つけたことは絶対に許せません」

関連記事