当時4歳の田川星華(せいか)ちゃんを暴行し、死に至らしめたとして、9月6日、奈良県警は星華ちゃんの母親の交際相手の山下翔也容疑者(27)を傷害致死の疑いで逮捕した。地元紙記者が解説する。

事件のあったマンション ©文藝春秋

「6月18日午前、奈良県橿原市にある交際相手Aさん(28)宅などでAさんの娘の星華ちゃんの腹部を圧迫するなど暴行を加えたとみられています。翌19日に星華ちゃんは汎発性腹膜炎により死亡。十二指腸には穴が開いていました」

山下容疑者(本人Facebookより)

 山下による星華ちゃんへの虐待の“兆候”は、以前からあった。

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「事件に先立つ今年5月、星華ちゃんを診療した歯医者から県に通報がありました。左目の充血を不審に思った歯科医がどうしたのか尋ねると、星華ちゃんは『(山下に)目をそがれた』と話したといいます。市が母親に事情を聞いたところ、『山下が子供の髪を乾かしている際、手が目に当たってしまった』と説明。虐待の判断には至りませんでした。行政側も山下の存在を把握していましたが本人への聞き取りはせず、星華ちゃんに個別面談もしなかった」(同前)

取材に応じた元同居女性は…

 母親のAさんの友人女性は、肩を落とす。

「なんでこうなる前に言ってくれなかったんだろう……」

 女性とAさんは9年ほど前、名古屋のバーで知り合った。

「初めて会ったのは、まだ星華ちゃんが生まれる前でした。当時Aは結婚していて、三重県四日市市に住んでいました。その後、離婚したようで、2020年9月に私を頼って橿原に引っ越してきました。お金にも困っていたので、星華ちゃんと一緒に私の家に住んでもらいました」