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オンライン投票の事前登録で国から“ボーナス”が

 2020年5月、プーチン大統領は投票の集計・結果公表の迅速化などを目的とし、遠隔投票を可能とする連邦法に署名。これにより、国政選挙や地方選挙、住民投票においてオンライン形式による投票が可能になった。

 驚くべきことに、オンライン投票の事前登録を行った人は、国から“ボーナス”がもらえるのだという。

「2021年9月の連邦議会選挙では、事前登録をして投票に参加した人に抽選で車やアパート、食品や家具、薬の割引券が当たり、話題を呼びました。アパートは20戸、車は100台用意され、割引券の対象商品は70社にのぼった。合計で200万人以上がボーナスを手にしたと報じられています。今回の統一地方選挙でも、1000ルーブル、3000ルーブル、5000ルーブルの割引券が計230万人に当選することになっています」(ロシア紙記者)

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オンライン選挙の景品の数々

 だが、この“オンライン投票”に多くの問題が指摘されているのだ。

「ロシアでは多くの選挙で3日間にわたって投票期間が設けられます。オンライン投票は期日内であれば何度も投票先を変えることが可能とされており、最大18回投票し直した例もあります。最後に行った投票内容が“最終投票先”として反映されるのですが、そのたびに再集計をしなくてはならず、投票結果の発表が予定より大幅に遅れるという事態を招いています」(同前)

「当選者は突然税金を払わされる羽目に」

“ボーナス”をもらった人も痛い目を見た。

「2021年の選挙の際は車やアパートが賞品として提示されると一時的に歓迎されましたが、〈4000ルーブル(現在のレートで6040円)以上の賞金を受け取った人は35%の個人所得税を支払わなければならない〉という法律があるため、当選者は突然税金を払わされる羽目になった。権利を放棄する人が続出しました」(同前)