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ビッグモーターはひとごとではない…産業医が「どんな会社もブラック企業になる可能性がある」と断言するワケ

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 企業, 社会

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Aさん、Bさんがやって、次に自分に順番が回ってきたら、やりたくなくてもやらざるを得ない雰囲気ができています。それが一つ目の圧力です。

だからといって新人ではない3、4年目くらいの社員が、「自分も昔、新人だった時は嫌だったし、今の新人も嫌がっているようだから」と思っても、「もう、こういうのはやめましょうよ」とは言いにくい雰囲気になっています。これが二つ目の圧力です。「余計な口を出すな」という同調圧力が、周りの人にもかかっています。

こうした2方向の同調圧力は、どんな会社にも多かれ少なかれ存在します。ですから、どんな会社でも、ブラック企業になる可能性を持っていると考えたほうがいい。誰もがそのことを認識し、自分の会社に存在する同調圧力について意識すべきでしょう。

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ハラスメントはバロメーターになる

同調圧力がネガティブな方向に働いているかどうかを見る、一つのバロメーターになるのが、「社内でセクハラやパワハラなどのハラスメントが横行していないかどうか」です。ハラスメントが蔓延している会社の多くは、こうした同調圧力が大きく働いて、悪い文化を強化してしまっています。被害者が声を上げにくくなるだけでなく、周囲も「口出しをしてはいけない」という圧力を感じて、黙り込んでしまう。さらに、こうした空気がつくられると、加害者に対しても、「自分がやっていることは、許されている」と、“お墨付き”を与えてしまいます。

報道によると、ビッグモーターについては社内で広く、複数の営業所などで、保険金の不正請求や街路樹への除草剤散布が行われていたようです。これも、同調圧力が悪い方向に強く働いてしまったのではないかと考えられます。保険金の不正請求や、街路樹への除草剤散布をやることが、「当たり前である」「やらなくてはいけない」と思わせる圧力と、こうした行動を止めにくい、「口出しをしてはいけない」と感じさせる圧力の、両方が働いていたのでしょう。

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