有名人のものまねを洗顔フォームで表現する「洗顔ものまね」。X(旧Twitter)での投稿には40万を超えるいいねがつくなど話題になっている。
そんな作品を作っているのは美術家として活動している杉浦由梨さん。彼女にこれまでに作ったアート作品や今後の目標などについて聞いた。(前後編の2回目/最初から読む)
◆◆◆
日常の中にある「面白い」を作品に
――ゆりさんは元々美術大学に通っていて、漫画家を目指していたそうですね。
杉浦由梨さん(以下、ゆり) そうですね。幼い頃から絵と漫画が大好きで、大学は美大に進学しました。漫画だけではなく、日常の中で「面白い」と感じるものを美術作品にしてきました。
――具体的にはどんな作品を作ってきたのでしょうか。
ゆり 大学生の時とかは、路上でよく活動をしていました。 踊ったり似顔絵屋をやったりしていて、その記録映像や写真を撮っていました。
また、過去に行ったパフォーマンスの衣装やオブジェを組み合わせて、作品として展示をしたこともありました。 私自身もその一部としてタコに扮していましたね。
他にも、部屋に落ちているもので和装を試みる映像を作ったり、風呂の浴糖に張り付いた抜け毛を指で動かして絵を描く作品などを制作しました。
――髪の毛でアートですか。
ゆり 私はお風呂に入る時にボーっと考え事をするのですが、その時に気づいたら浴槽に張り付いた抜け毛を指で動かして絵を描いていて。意外とちゃんと描けるのと、その曲線が美しかったので作品にできると思って、大学の卒業制作として制作しました。
でも、この作品も時間との戦いなんです。髪の毛と浴槽が乾くと落ちてしまうので。洗顔ものまねと同様に、その時その瞬間にしかできない表現を好んで作っています。
他にも文字の上で暮らすという作品も作りました。きっかけは、以前、私が派遣で事務の仕事をしていた時のことなんですが、任せてもらえる仕事が少なく、目の前にある資料を読んでいるフリをして毎日やり過ごしていて。
その時にどの文字が一番居心地が良さそうか考えていたんです。そうすることで、いつまでも文字を眺めることができたので。
それで大学の先輩に作ってもらった大きな文字の中で24時間過ごしてみました。仮定ではひらがなの「も」が棚が二段あって、フリースペースもあるので生活しやすいと思っていたのですが、実際には手足を伸ばせる「に」が過ごしやすかったです。