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呑んでかかられている、ということを否応なしに見せつけられた場面

 という一抹の違和感を心の底に抱えながらのシーズン終盤、9月8日の対ライオンズ戦でした。

 0-1で迎えた7回表、ここまで援護のない中それでも何とか踏ん張っていた上沢直之がとうとう根負けしたという感じで、フォアボールでランナーをためたあと連打を食らうという実にダメージの大きい突き放され方をしたのですが、その2本目のタイムリーの時。3点目のホームを踏んだ中村剛也が、スキップしながらベンチに戻って行ったのです。

 満面の笑顔で駆け戻ってベンチの皆とハイタッチというのだったら普通です。ホームランのあとの「熱男ー!」や「どすこーい!」、何なら宙返りホームインも普通の気持ちで観ることができます。

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 でもスキップというのは、駆け出したり叫んだりするのと同じく「嬉しさの表現」ではあっても、「興奮」や「ハイテンション」の要素はないんですよね。むしろその正反対、リラックスしてくつろいでいる人のすることです。

 ビジターゲームの終盤7回、リードを広げたことの喜びの表現が、勢いよく走って戻るんじゃなくてスキップになるんですよ。中村剛也40歳、あの場面でちっとも興奮なんかしていなかったんだ。

 呑んでかかられている、ということを否応なしに見せつけられた場面でした。年齢も実績もくぐった修羅場の数も段違いのベテラン選手とまともに渡り合うにはまだまだまだまだ役者が不足。でも、いつまでもこのままじゃあいけないんですよ。だって、今のファイターズにはもう「うちの球場」があるんですから。ここで主役を張るのはファイターズじゃなきゃいけない。

 CSファーストステージが開幕した10月14日、鎌ヶ谷で練習を再開した松本剛の様子が伝えられました。不本意な結果への選手の反省の弁というのはシーズンオフの恒例ですが、デイリースポーツと道新スポーツに載った選手会長の言葉には「お決まり」からちょっとはみ出す熱っぽさがありました。彼は物凄く口惜しがっていたんです。CSなんて観たくないもん、勝ちたい、と。

 これ、この数年は見かけることのなかった兆しだと思うのです。

 その意気やよし! エスコンフィールドの主役の座、来年こそはもう相手チームには渡すな。もう二度と誰にも試合の最中にスキップなんてされるな。吞まれるな。

 それが誰でも、どんな格上の相手でも。

 目の色を変えさせてみせろ、ワカゾーたち。

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