新球場エスコンフィールドHOKKAIDOでの最初のシーズン終了です。ファイターズの成績は去年と似たり寄ったりなのですが、私の観戦生活は激変しました。とにかく出不精で腰が重くて、札幌ドームへ行くのは年に3回あるかないか。だってどうせ全試合テレビで観られるし……というものぐさが、今年はオープン戦とパブリックビューイングと2軍戦含めて合計18回、エスコンフィールドに出かけていたのです。それは確かに自分の住んでる市内の球場ですが、うちからの所要時間は札幌ドームに行くのと大して変わらないんですよ。近いから行きやすくなった、だけではないんです。

 居心地のいい球場なんですよね。試合途中でちょっと席を立つとして、隣の人の前を通るのもそんなに窮屈じゃないし、どこの席にいたとしてもトイレは必ず近くにあるし。外の景色が見える開放感もこれまで知らなかった快適さです。何だかんだでまた来たい、また行こうと思わせてくれる場所。

エスコンフィールド北海道 ©時事通信社

 というのはファイターズファンに限らなかったようで、SNSなど見ていると、相手チームの遠征ファンにも概して好評。行くのを楽しみにしていた、実際来てみて気に入ったという声がいろんな人から上がっています。そうかー皆さんに楽しんでもらえてるんだ、と嬉しく読んでおりました。

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 最初のうちは。

 だんだん、あれ?と思い始めたのです。

 新球場に行ってきました、格好良くて綺麗だしご飯もみんな美味しい、そして試合も勝って言うことなし! 最高の北海道の旅になりました!

 何かこんなのばっかりしょっちゅう見てる気がする……?

「負けたから残念」「がっかり」というのにはうまく収まり切らない感情

 新球場記念で1日早く行われた開幕戦はイーグルス伊藤裕季也に「新球場最初のホームラン」を打たれ、田中将大に「縁のある北海道での開幕勝利」を飾られました。7月にはマリーンズ石川慎吾に「かつて所属したファイターズ戦でのヒーローインタビュー」をプレゼントする羽目に。

 勝てないのは何も今年に限ったことではなく、去年も一昨年もそうでしたし、そして負ければ相手の引き立て役に甘んじてしまうのは、ぶっちぎりの独走優勝をするチームだって長いシーズン中には何度も経験することです。いちいち気にしていたらきりがない。

 ただ、今年のホームゲームでの負けは、去年までとは違う感慨がありました。

 場所がエスコンフィールドだったから。

 念願の、球団史上初の、やっと手に入れた本当のホームグラウンド。

 その最初のシーズンで、相手チームの方が目立っているのは口惜しいし歯がゆいしもどかしい。ただ単に「負けたから残念」「がっかり」というのにはうまく収まり切らない感情です。

 たとえば勝ったチームのSNS公式アカウントの発信など見ると、「〇〇選手が北の大地で躍動しました!」か何か言ってたりするんですよね。すると心の狭い私は、札幌ドームで勝った時には別にこんな言い方してなくなかった?なんぞと思ってしまったりする訳ですよ。相手のファンがエスコンフィールド大好きと盛り上がってるのを見ると、試合結果によるところも大きいんだろうなあと僻んだりもしてしまうのですよ。

 テレビのバラエティ番組では「新しくできた観光地エスコンフィールドにやって来ました!」とさらっと言われていたりして、いやそれは確かに観光地になってるけれども、最初にまずそう言われちゃうんだ。それしか言われないんだ。ファイターズの本拠地球場であることは二の次なんだ。

 旅行者と対戦相手とそのファンと、要は「来る人」のための新しい舞台、それを盛り上げる背景や脇役としてのファイターズ。傍からはそんな図にさえなってやしないか。マー君や慎吾ちゃんが北海道でヒーローになれたんだからよかったよね、なんていうのはやっぱりちょっと……。