「人には、自分だけの幸せの形がある。それを信じて貫きな」
そう口にした母は、息子と小指で「ゆびきりげんまん」を交わす――。これは、現在公開中の映画『アナログ』で、二宮和也演じる主人公・悟が母にエールを送られるシーン。二宮に温かな視線を向ける母を演じるのは、女優の高橋惠子(68)だ。
「撮影の合間、高橋と二宮は和気あいあいと談笑していて、まるで本当の母子のようでした。一方で、このセリフを言う時、高橋さんは、柔らかな笑みを浮かべながらも、声に力を込めていた。息子の幸せを願う母の気持ちがあふれ出ており、作品中でも特に印象的なシーンに仕上がりました」(映画関係者)
振り返れば高橋自身、“自分だけの幸せの形”を貫き続けてきた。
さまざまな男性との交際を報じられ、“恋多き美少女”のイメージが定着
北海道出身の高橋は、大映のカメラマンにスカウトされたのを機に、15歳で「関根恵子」としてデビュー。映画『高校生ブルース』で大胆なヌードを披露し、鮮烈なデビューを飾った。
「さらに2本目の映画『おさな妻』では、子持ちの男性と結婚する女子高生を熱演。演技派の若手として注目を集めましたが、本人は右も左も分からず、大人にいわれるがままに演じているような状態。実生活と演じる役柄がかけ離れていて、心のバランスがとれていなかったそうです」(芸能関係者)
17歳の時には、『太陽にほえろ!』に警官役で出演し、国民的な人気を獲得。さらに主演映画『朝やけの詩』では全裸で泳ぐシーンを熱演し、男性誌などでセクシーなグラビアを披露することも多かった。
「休日は年に3日という多忙な生活の中で、“一人の女の子”に戻る時間が欲しかったのでしょう。心の隙間を埋めるかのように次々と恋に落ち、共演で知り合った北大路欣也をはじめ、妻子ある編集者や芸能関係者など、さまざまな男性との交際を報じられ、“恋多き美少女”のイメージがすっかり定着してしまいました」(同前)
舞台の千秋楽を前に突然失踪
そして、20代のはじめ、雑誌の対談で知り合った11歳上の新進作家・河村季里氏との熱愛が発覚する。
「仕事に疲れ切っていた高橋は、芸能界を離れ、飛騨高山の山村で2年間ほど河村氏と同棲生活を送っていました。しかし、経済的に困窮したようで、女優業を再開。復帰第一作目となる1979年の舞台『ドラキュラ』では、ブランクを感じさせない迫真の演技を見せました」(芸能ジャーナリスト)