なぜかニューヨークのマンハッタンにこだわったドン・ファン
女遊び以外に趣味も興味もまったくないドン・ファンが、あるとき意外なひとことを口にしたことがありました。
「ニューヨークのマンハッタンはいいですね。マンハッタンの5番街に、いつかビルを建てたいなあ」
私が娘と共に米国・ニューヨークに滞在していた時、ドン・ファンが国際電話をかけてきたことがありました。あのときもしきりに「5番街は良いですねえ。ニューヨークは良いですねえ」と繰り返していたものです。といっても、ドン・ファンはニューヨークに行ったことなどないのですが……。
ドン・ファンが急死したあとにそのことを思い出し、ドン・ファンの写真を持って、娘と一緒にマンハッタンの5番街を訪れました。
「ありがとう。ありがとう。やっぱり5番街は最高ですね~!」
天国で微笑むドン・ファンの笑顔が、そのときはっきりと頭に浮かびました。
ドン・ファンとの「愛のないセックス」に身を投じた女性たち
私はこれまで、ドン・ファンとの「愛のないセックス」に身を投じた幾多の女性たちに出会ってきました。セックスの対価として10万円、20万円、100万円、200万円というお金を手にしたとしても、そのお金はまるで水分が蒸発するかのように、たちまち揮発してなくなってしまいます。そのときパパ活女子たちは、どれほどの喪失感と虚無感に苛まれることでしょう。
パパ活を頭ごなしに否定するわけではありません。身を投じて稼いだ対価によって、物欲を満たす。学費を支払う。親に仕送りをして生活を助ける。パパ活によって得たお金のおかげで足りなかったパズルのピースが満たされ、幸福度が増すことはあるのでしょう。反対に、いくらお金を稼いでも欲望が満たされることなく。心にポッカリ穴が空いてしまうことだってあるはずです。