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草むらの入り口に吊り下げられた“手書きのメッセージ”

 すると、草むらの入り口に木の棒が立っていて、段ボールが吊り下げられている。段ボールには

  “あぶない マムシに気をつけて”

 と書かれていた。

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吊り下げられた段ボール

 マムシといえば、ハブよりも強い毒を持つことで知られる毒ヘビで、もしも嚙まれたらタダでは済まない。かといって、隧道を見ずに帰る訳にもいかない。気を引き締めて、棒で足元の草を払いながら、恐る恐る進むことにした。

 その直後、近くの民家から一人のお婆さんがこちらに向かってきた。自分に向かって何か言っているように見えたため、歩み寄って話を聞いた。

「そっちはマムシがいるから、やめといたほうがええ。命にかかわる。それでも行きたいのなら止めないけど」

 親切な忠告にいたみ入ったが、隧道を見に行くという決意は変わらない。他人に迷惑をかけないよう、安全には最大限の注意を払っているが、こうした趣味を続けている以上、覚悟は決めている。

「ありがとうございます。でも、どうしても隧道を見に行きたいので、注意して行ってみます」

 と答えた。

 丁重にお礼を述べ、棒を振りながらさらに進む。草むらのマムシを警戒しつつ、蜘蛛の巣を払うために棒を縦に振っていたのだが、先ほどのお婆さんが“違う違う”と言わんばかりに手を横に振っている。

草むらの先に山の斜面が

 “棒は縦に振るんじゃなくて、足元で横に振りな”とジェスチャーで教えてくれた。お婆さんからマムシ除けのレクチャーを受けたところで、隧道を目指して先へと進む。

 すると、草むらの先に山の斜面が見えてきた。隧道の気配を感じる。さらに近づくと、山にぽっかりと穴が開いている。目指していた隧道だ。

隧道を発見した

 開口部は大きく、5メートルほど上部まで削られている。その先で急激に天井が低くなり、隧道の高さは2メートルぐらいだろうか。