『スター・ウォーズ』の劇中で、旧三部作では密輸屋ハン・ソロの愛機として、新三部作では主人公レイの「ホーム」として大活躍する宇宙船「ミレニアム・ファルコン」。
その研究に人生を捧げ、バンダイから3月24日に一般販売されたプラモデル「PERFECT GRADE 1/72ミレニアム・ファルコン[スタンダードVer.](PGファルコン)」の開発にも協力した「撮影用モデル研究家」鷲見(すみ)博氏の「ファルコン」愛が炸裂するトーク。後編はいよいよ、「ファルコン」のあまりにもユニークなデザインが生み出された経緯と、ファルコンの撮影用モデルを作り上げた若きスタッフたちの青春の日々に迫ります。今年6月29日公開予定の映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の予習にも最適です!(前後編インタビュー。前編が公開中です)
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一体どうやって、こんな宇宙船を思いついたのか?
―― 「ミレニアム・ファルコン」のデザインは、今見てもすごくユニークですね。円盤型の先端にくちばしのような突起があり、コクピット(操縦席)は機体の右端についていて左右非対称。にもかかわらず、なんとも言えない魅力があり、最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でも大活躍しています。一体どうやって、こんな宇宙船を思いついたんでしょうか。
鷲見 有名な話なのですが、「ミレニアム・ファルコン」の初期デザインは、現在知られているものとはまったく異なっていました。
1977年に公開された最初の『スター・ウォーズ』(現行タイトルは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』)の冒頭、レイア姫の乗った船が、帝国軍の巨大な戦艦(「スター・デストロイヤー」)に追われ、拿捕されます。現在は「ブロッケード・ランナー」と呼ばれるレイア姫の乗船が当初、「ミレニアム・ファルコン」としてデザイン・作成されたものなんです。
―― 最初のデザインは細長いロケット型だったんですね。宇宙船としては、割とオーソドックスなデザインですよね。
鷲見 主役の船、ということで、他の撮影用モデルよりもずっと大きく、細部も丁寧に作り込まれていました。しかも、撮影用モデルが完成したら、それを元にイギリスのスタジオで実物大セットも作成することになっていたから、スケジュールが遅れたら大変なことになる。
チーフ・モデルメーカーのグラント・マッキューンや、途中から加入したジョー・ジョンストンも加わって、1年がかりで完成させ、英国に完成写真も送ってようやく一息ついた頃に、「インダストリアル・ライト&マジック」(ILM=スター・ウォーズ製作のためにルーカスが作った特撮スタジオ)のスタッフの一人が「ファルコンに似た宇宙船がテレビに出ている!」と騒ぎ始めた。
それが、あの『サンダーバード』を製作したことで知られるジェリー・アンダーソンの手がけた『スペース1999』に登場する「イーグル・トランスポーター」だったんです。