宝塚歌劇団宙組の娘役・有愛きい(25)が自宅マンションの敷地内で死亡した事件を受けて、劇団側は20日、宝塚大劇場での上演が予定されていた宙組公演の全日程を中止すると発表した。
「週刊文春」は事件発生以来、有愛を追いつめた劇団側の隠蔽体質と、宙組内部でのイジメの実態について詳報してきた。真相究明の一助となることを願い、事件を報じたスクープ速報を再公開する(初出:2023年10月18日/年齢・肩書きは当時のまま)。
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9月30日午前7時ごろ、兵庫県宝塚市のマンションに住む宝塚歌劇団宙組の劇団員・有愛きい(25)が、マンション敷地内で死亡しているのが見つかった事件。
週刊文春は有愛が亡くなる前日の29日、母親に〈精神的に崩壊している……〉といった趣旨のメッセージを送っていたこと(#2)、さらに28日には、有愛は同じ宙組の上級生から「集団リンチのような目にあっていた」(宙組の生徒)ことを報じてきた。
過去に予科生が寮のバルコニーから…
さらに取材を進めたところ、5年前の2018年6月に、宝塚音楽学校に入学したばかりの予科生A子さんが、苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから転落し、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送され、全治3週間の全身打撲を負っていたことがわかった。A子さんの家族は学校側に再発防止のため保護者会の開催や第三者委員会を設置したうえでの調査を幾度も求めたが、そうした警鐘は黙殺されていた。同年末、A子さんはひっそりと退学した。
取材班が宝塚音楽学校に質問状を送ると、以下の回答があった。
公表しなかったのは、本人の人生とプライバシーを守るため
「本事案については、元生徒ご本人のプライバシーに大きく関わるため、詳細の説明は控えさせていただきますが、当時、生徒の自主性を尊重するあまり、指導の状況が十分に把握できておらず、その結果、当該予科生のみならず、全体として、生徒に過度な負担がかかる状況になっていたことについては、学校としての管理責任を強く感じております」
当時、A子さんが転落事件を起こしたことは公表されなかった。A子さんの両親は再発防止のため、事実の公表と、第三者委員会を設置しての原因解明を求めていたが、叶わなかった。この点については「ご本人のこれからの人生やプライバシーを守るため、公表はいたしませんでした」とした。