欽ちゃんの事務所で「絶対に下ネタやってるって言っちゃダメだよ」
――平井理央のモノマネをネタにして『みなさんのおかげでした』の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」に出たのも、その頃ですか?
中村 大体、その頃かな。事務所の大先輩の関根勤さんが「いいねー、いいねー」って手を叩いて笑ってくださって、安心したの覚えてます。浅井企画って、関根さんをはじめ、優しい先輩がたくさんいるんです。
――でも浅井企画は下ネタ禁止の文化でも有名ですよね。完全なる下ネタ路線で大丈夫だったんですか?
中村 そうなんですよねー。だから内緒でやってます(笑)。何年か前に大将、萩本欽一さんの『仮装大賞』の前説をさせてもらったことがあるんです。もちろん大将にご挨拶に行くわけですけど、周りから「絶対に下ネタやってるって言っちゃダメだよ」って釘を刺されました。「モノマネやってます、中村愛です」ってきちんと挨拶しました。あと、社長も観に来ているライブでネタを披露するっていう事件がありまして。
エロ過ぎて、社長に下ネタとさえ思われなかった
――浅井良二社長といえば、三木のり平のマネージャーを経てコント55号を担当、独立して浅井企画を設立した方ですよね。
中村 そうです。社長の前で下ネタはまずいよなーって悩んでたんですけど、私のネタで一番ウケるのはエロマジックだし……って思い切ってやったんですよ。いつもの「入れるよ、入れるよ、奥まで入っちゃった〜」のテイストを和らげて、「入ってるよー」くらいにして(笑)。終了後、社長から何組か呼び出しがかかったんです。例えば流れ星さんは「トイレのネタ、あれは下品だからダメ」みたいなことを言われたそうで、めっちゃ下ネタコードがきついんですよ。でも、なぜか私は呼ばれなかったんですよね。たぶん、エロすぎて、一周回ってエロいともなんとも思わなかったのかもしれないです。助かったーって思いました(笑)。
――芸は人なりと申しますが、中村さんは本当にエロいのが好きなんですか?
中村 なんてこと聞くんですか! 大好きです(笑)。高校のときの将来の夢はエッチなアニメの声優でした。「お兄ちゃん、すごぉい」とか、友だちと言い合いっこしてました。
川谷絵音さんが好きなんです
――ゲスドルとして憧れる人は誰ですか?
中村 いつか鶴光さんのような、ねっちょりしたトークを極めてラジオをしたいですねー。今、ラジオで共演させていただいている吉田照美さんは、もうラジオの神ですよね。あと憧れてる人といえば、川谷絵音さんかなあ。
――ネタですか!
中村 いやいや、ホントに好きなんですよ、ゲスの極みさん。デビューして間もないころ、タワレコがプッシュしてたときに「同じゲスなんで、何か一緒にできたらいいですね」って連絡をしたら、ライブに招待してくださったり繋がりが生まれたんですよ。川谷さんのキノコカットもノペッとした顔も大好きなんですけど、結局「ゲスコラボ」は幻に終わってしまいました。いつか実現できるといいなあ。
写真=佐藤亘/文藝春秋
なかむら・あい/1986年愛知県名古屋市生まれ。浅井企画所属。2014年にスタートした『MOZAIKU NIGHT MONDAY』のDJを4年にわたって務めた。エロマジック「ムラマジ」や男子が喜ぶ一発ギャグ、モノマネを持ちネタとする“ゲスドル”。中型自動車免許(トラック)など、様々な資格を持つ。