安田さんの遺族が得られなかった“権利”も指摘
さらに、初めて明かす話として、事件の発生から時間が経ち過ぎてしまったことで、安田さんの遺族が得られなかった“権利”があると指摘した。
「犯罪被害者等給付金の遺族給付金というお金が出る制度があるんですよ。申請期限は事件発生から7年。生計維持関係遺族がいる場合、最大で3000万円近い給付金が受けられる可能性がある。自殺の場合には出ません。だから当初、大塚警察署がちゃんと捜査をしていれば、安田さんの遺族がこの権利を失うことはなかった。2018年の再捜査の時もそのことが頭にあって、私はご遺族がかわいそうだな、と思っていた。どうやって落とし前をつけるんだということは感じましたよね」
そして、2018年の再捜査の時のような終わり方は「さすがにできないと思います」とした上で、こう言うのだった。
「告訴を受けた以上、警察には全件送致主義(全ての事件が検察官に送致されるという原則)がある。そもそも、この事件は検察が立件票を交付した事件だから送致する必要があったわけですが。
まあ、ちょっと時間はかかるのかもしれないけど、丁寧に(捜査を)やっていくしかないのかなと。当時は私、X子さん1人しか取り調べをしていないじゃないですか。でも他にも、話を聞くべき人、取り調べをしていない人は何人もいる」
再開される捜査の行方が注目される。
佐藤氏が登壇したオンラインイベントのアーカイブ動画は「週刊文春電子版」で公開している。また、佐藤氏による電子版オリジナルの連載「ホンボシ」は毎週月曜・午前7時に更新予定だ。
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