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「技能実習制度運用要領」が公表され、実習生の受け入れが難しくなる
外国人技能実習制度は1993年に導入されたが、低賃金の単純労働を強いるなどの問題が相次いだため、2016年、人権侵害防止策を盛り込んだ外国人技能実習適正化法が成立。翌17年4月、実習生の報酬や宿舎環境などの水準を示した「技能実習制度運用要領」が公表された。この運用要領が新宿舎の門出に水を差した。寝室は「1人当たり4.5㎡以上」と明記されたからだ。
「この基準が定まってからは、既存の施設も含め、規定を満たさなければ実習生の受け入れが認められなくなった。組合幹部は、例外を設けるよう厚労省などに再三働きかけたが、けんもほろろの対応でした」(前出・組合員)
そこで彼らが頼ったのが新藤氏だった。
『改悪』と言わざるを得ない方針転換
「新藤氏の後援会長を務める石川義明専務理事(現理事長)らが、17年5月頃に東京の新藤氏の国会事務所で、厚労省、法務省の官僚を呼んで要望をしたのです」(同前)
すると不可解なことに、要領公表からわずか3カ月後の7月14日、宿舎の広さ規定が変更される。寝室以外に、私有可能なスペースをもうけ、1人当たり計4.5㎡以上となれば適切と認めると、方針が転換されたのだ。
こうして新宿舎は、実習生の居住スペースを増やすことなく、外に倉庫をつくるなど対策を講じるだけで、実習生の受け入れが可能となった。
外国人技能実習の問題に詳しい斉藤善久神戸大学准教授が指摘する。